【天使の影 ~アドリアン・イングリッシュ1~/ジョシュ・ラニヨン】シリーズ一冊目にふさわしい作品です!!

これまで海外のBL翻訳でお世話になっていたジョシュ・ラニヨンさんの本ですが、この「アドリアン・イングリッシュ」シリーズは読んだことなかったんですよね……。

読まない理由は特になかったので、「ちょっと読んでみようかな?」と思って、読み始めることにしました。

読み終わってまず思ったこと。

あれ……、主人公のアドリアンってメインの恋愛対象になるはずのキャラとそういう事してないよな……??

日本のBL本だとページミスと酷評されても仕方ないようなことですが、ページ数が320弱あるなかでBL本だからこそのシーンも片手で数えられるほど(3回ぐらい)だし、その相手がシリーズを通してアドリアンの運命の相手になるはずの相手じゃないって、日本のBL本だと珍しい展開です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

シリーズものだからできる大胆な序章的一冊!

今回の一冊は一言でいうと、「俺達の旅はまだはじまったばかりだ!!」ですね。

なにせ最後までアドリアンはお相手のリオーダンの事をファーストネームで呼んでない(むしろファーストネームを知らない)。海外BLで考えるとかなり珍しいです。

しかも最初からリオーダンとは険悪ですし。

親友のロバートが殺されて(それが今回のストーリーの軸)、その犯人扱いされるわ(しかもいろいろと不安材料あり)、刑事と重要参考人っていう立場なので「嫌悪からはじまる関係」というカテゴリーでみるとかなりドキドキさせられる話になってます。

嫌悪からはじまる関係のBL本って面白いけど、「え。このふたり、くっつんだよね?!」と自問自答しながら読み進めていくのはかなり新鮮。一般的なBL本だと少なくともお相手のリオーダンはアドリアンの事を信用して事件解決に付き合ってくれるのがセオリーでしょ?! って思ってしまいます。

でも終盤に真犯人や真犯人が何故事件を起こしたのか分かるまでは、本当にリオーダンはアドリアンを犯人扱いしてるし(時々アドリアンの事を周囲に聞いて回っていると描写で執拗に聞いてるっていうのがあるから、「興味はあるのかな?」って思うんですけど、それ以上にリオーダンのアドリアンに対する態度は冷たいんですよね……)。

私服で家を訪ねてくるシーンとかあって、読者だから「おお、これは萌えシーンだな!」って分かるけど、アドリアン的には自分を疑ってる刑事が家に来てるわけだから全然ロマンチックじゃないですしね。――いや、本当にくっつきますよね??

極めつけはリオーダンがゲイなのも中盤ぐらいで第三者からカミングアウトされます。

これ、本当に情報なしで読んでたら誰がお相手なのか絶対に分からなかった気がする。

シリーズ的にリオーダンが相手って知ってなかったら「え。この刑事、犯人?」ぐらいは思いそうな展開ですよ……??

ミステリーだけど読者への挑戦感はない

ちなみにストーリー的にはミステリーなんですが、「読者に事件の謎を解かせよう」系ではなくて「主人公と一緒に事件を追いかけて驚いてね」って感じでした。

ところどころに事件に関係するピースは出てくるけど(チェスの駒とか高校時代の話とか)、重要な部分は終盤で分かってくるので犯人が判明した時の「あいつかよ!」って驚きはあるけど、「そうなると分かってた!!」っていうのとは程遠いです。

なので事件を解いてやるぜ!! という読者には不向き。

BLを求めて買う人が主ターゲットだと思うんで、ミステリーは少なめでも気にならなさそうですけど。BL+ミステリーは添えるぐらい、って感じのテイストです。

でもそういうシーンも少なめあっさりめなので、濃厚なものを求めてる人はがっかりきそうです。その分ストーリーはばっちりなので、読んでて飽きません。このあたりはジョジュ・ラニヨンさんの作品を読んでる人には、「期待通りの作品ですよ!」って言えます。

大掛かりな序章を読み切った気分

今回の作品は、全体的にいい感じに「シリーズもの」な本の一冊目って感じです。

これが一冊読みきりならアドリアンとリオーダンはすぐくっつくんだろうけど、シリーズものだからしっかり一冊で馴れ初めを書き上げた! ってところですね。

なのでアドリアンが最後に恋愛をして別れた男性「メル」については名前は出てくるけどほとんど登場してこないし(でも名前があるってことは今後何かしらの関わりはあるんだろうなと邪推)、リオーダンがSMクラブに通ってる理由も分からないです。

リオーダンがゲイなのにゲイを嫌悪しているのも、ストーリーを通してどんなふうにアドリアンと関わっていくのか気になる要素です。

……これ、私が購入した時には全5巻で完結してるから気にならないんですけど、リアルタイムで買い続けた人は一冊目が終わって二冊目が出てくるまで、かなり蛇の生殺し状態だったんじゃないでしょうかね……?

ここまで感想を書いてみると本当に今回の話はシリーズの一作目です。真犯人からアドリアンを助けたリオーダンと助けられたアドリアンだけど、ここから本当に恋愛って始まるの?! って思えなくもないですし……、第二冊目。楽しみです!

タイトルとURLをコピーしました