【海賊王の死 ~アドリアン・イングリッシュ4~/ジョシュ・ラニヨン】元鞘に戻るまでに2年かかりましたね……。

アドリアン・イングリッシュの第四巻読みました!

いやぁ、第三巻でジェイクが結婚する宣言するし、新しい男(ガイ)が出てくるし、一体どうなるんだよこれ?! 的な展開だったんですが、第四巻はそれから2年後……なわけで、作者様、多分第二巻のキリのいいところで終わらせるつもりだったんじゃないかなと思いつつ、にまにまして読破。

2年後にお互い別の人生を歩んでるところに再会したふたりがまた同じ道を歩き出すまでの話なわけですが、このシリーズって主人公のアドリアンよりもジェイクに対しての試練がかなり厳しいことになってるなと実感しています。

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今回の話の主人公はどう考えてもジェイクでした

ジェイクという人間を別のキャラから見つめるストーリーなわけで

アドリアンは何度も事件に巻き込まれてついでに犯人扱いもされてるけど、ジェイクはそんなアドリアンを助けつつも自分がゲイであることを周囲に隠しながら警察官をやっていて結婚もしていて……なので、作者様の本は他にも読んだことあるんですけど、その中でも一番身動きが取れないし生きづらいのがジェイクなんですよね。

同じ警察官という立場でも自由に生きてるキャラが作者様のシリーズ内にいる一方で、不自由をこれでもかと与えられているのが、アドリアンシリーズのジェイクなわけです。

アメリカっていう国を日本人の私が想像すると「自由の国で性的な趣向なんて問題ないんだろうなぁ」と思うんですが、むしろ性的な趣向なんて問題ないと思ってカミングアウトする意識があるからこそカミングアウトできない環境というものが息苦しさを感じさせて、ジェイクという人間の魅力に繋がっているのがこのシリーズの(もっと厳密にいうなら今回の第四巻の)魅力。

そしてそんなジェイクを「普通じゃない」と責め立ててくる連中がいるのも、このシリーズならではの構図。

第三巻で語られた結婚する理由の破たんや、アドリアンやケインとの色々がなかったら、ジェイクは多分第四巻でも家族や嫁さんに自分はゲイだと告白していなかったと思うんですよ。(そして近いうちに破滅していたかも)

今回の第四巻はジェイクが「自分はゲイである」と周囲にカミングアウトするのだと決心するまでの一連の心の変化が一冊(440ページですよ。だんなぁ……)にまとまったストーリーだと思います。

だから主役はアドリアンではなく、ジェイクなんです。

もちろん語り手はジェイクが「結婚して普通になりたい」という理由で関係を2年前に断ち切ったアドリアンだから、ジェイクについてかなり冷めた視点で語られてるんですよ。それなのに読んでる側に、ジェイクの心境を伝えてくるのってすごい。

いやこれって一度ジェイクとの関係が切れてジェイクに期待しないときめたアドリアンの視点だからこそ、ジェイクがどんなふうに決心していくのか(あるいは選び取るのか)っていうのがひしひしと伝わってきたのかな。

終盤のあの展開になった時にようやくジェイクがアドリアンを選びとるわけですけど(今までも選んでいたと言えばそうだけど、もっと明確にすべてを失う覚悟でアドリアンをつかみ取った)、これまでの葛藤が見えてるからこそ「おおーーー!!! ジェイク!!!」ってなるわけでして。

今回の主役はどう考えてもジェイク。

シリーズの主人公は語り手こそアドリアンだけど、今回のストーリー的なのはジェイク。アドリアンはアドリアンで5年来のジェイクの性的な友達だったケインにいろいろ吹き込まれてジェイクに対して塩対応になってたりするわけですけど、ジェイクに比べればまだ修羅場は少なめですし。

でもアドリアンもアドリアンで未練ありましたよね……?

と、ここまで「今回の話の主人公はジェイクだったんですよ」的に書いてきましたが、アドリアンもアドリアンで自分はジェイクに塩対応してるけど、まわりからは「ジェイクが忘れられないんでしょう?」とかさんざん言われているので、アドリアン自身は自覚してないけどかなりジェイクに未練があるんですよね……。

ジェイクが登場してくるので、前回からお付き合いすることになったガイとは別れることになりそうですし。

アドリアンとジェイク。このふたりって、無自覚両片思いカップルってことでいいんじゃないでしょうか。(今回の話の最後で一応元鞘に戻りましたけど)

そして毎回さりげなく思ってるサスペンス要素ですが。

アドリアン・イングリッシュシリーズってサスペンス込みの海外BLなんですけど、これまでの一巻から三巻までを考えると「うん。サスペンスはスパイスぐらいだと思う」なんですが、今回は最初のほうから事件に関わる伏線があったり、中盤ぐらいに大事な要素が含まれていたりするので、これまでのシリーズで登場した事件に比べると読者でも謎解きできそうな要素が増えてました。

BLも読みたいけどサスペンス要素も捨てがたい! って感じで面白かったです。

というわけで、読み終わりました第四巻。

今回は読みながら「ああ、終わるのか―。終わっちゃうのか―。あと一冊あるけど(アドリアンシリーズは全5巻構成)」と思ってたからか、読み終わるまでにそれなりに時間がかかりましたけど。読み終わりました。

三巻で絆を断ち切った二人が四巻で絆を取り戻したわけですが……、第五巻目。最後はどうなるのかとても楽しみです。

アドリアン・イングリッシュの感想記事はこちら!

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