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読書感想小説

【ネタバレ有】一九六一東京ハウス/真梨幸子【初読感想】

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真梨さんの本を色々と読むようになって、「あ。この人の本、結構安心して読める」と思い始めてきたので手に取って見た一冊。
好きな作家さんだし、安心して読めるし、貴重だなぁー。

というわけで今回も、いい感じに伏線があっちこっちに散らばっていて、それを読みながら丁寧に回収していくと、最後に「なるほど、そういうことか!」と膝を叩きたくなる伏線回収が楽しい一冊になっていました。

現代と過去が入り組んでいて、色んな人間の思惑が絡み合ってきて。
でも真梨さんの作品の中では「あ、これ伏線だな」っていうのが分かりやすかったので、比較的謎解きも簡単。
そして後味が悪いというか、想像すればするほど悪い方向に考えが回っていく不穏さも織り込み済みなんだよなぁー。

特にあの500万円がね。

謎解きはスムーズだし、作中のフォントが違う文章もよくよく見れば意味がわかるし、読みやすく分かりやすいミステリーで話が進んでいくだけど、終盤の500万円で「え?!」となるんですよ。

私、岡島さんが高橋さんに500万円を渡した理由が分からないんだわ。

いや、これ文句とかそういうのではなくて。
分からないってことそのものがこの話に意図的に残された「読者が解けない謎」なのかなって思う。(そこまで書いておいて実は私が読み違いしてたら笑うんですが、まあここは私の感想ブログなので気にせずに書いておこう)

岡島さんが1961年に死んだお姉さんの死の真相を知りたがっていたのは、分かる。
そのために今回の「1961年を舞台にした団地体験」を企画したのも分かる。
より当時に似せるために工夫して、体験する夫婦の名字を変えたりしてたのも分かる。
で、実際にお姉さんを殺した犯人が誰なのか(高橋さんの奥さん)推測できるところまで辿り着いた……、のも分かるんだけど。

そこからどうして、500万円を高橋さんに渡すのかが分からない。

え、だってその人、岡島さん視点でいうとお姉ちゃんを殺した犯人の旦那さんじゃん?

話の最後で真犯人の情報が出てくるけど、岡島さんはそのことを知らないはずなので(知っていても高橋さんに500万円を渡す理由にならないよね?)、高橋の奥さん=お姉ちゃんを殺した犯人になるはず。
その旦那さんにお金を渡すって言うのは……、ようするにどういうこと?

このあたりで一気に不穏さが増す500万円。

岡島さんが高橋さんの話を聞いて、「やっぱりお姉ちゃんを殺した犯人は鈴木だったんだ」ってなったってことなのかな?? わからん。
それか、お姉ちゃんとお母さんを弄んだ鈴木を殺してくれた高橋さんに感謝しての500万円、とか? そっちのほうがしっくり来る??

一番考えて不穏なのは、岡島さんはお姉ちゃんの死の真相は知りたいと思っていたけど、別にお姉ちゃんのことは嫌いで、高橋さんに「お姉ちゃんを殺してくれてありがとう」って意味で500万円を渡したのかな? ってことなんだけど、さすがにそこまでは考えすぎかなぁ……。

不穏さがポイントの真梨さん作品のなかで、読者が解けない「謎」がそっと置いて行かれるの、いい感じですよねぇー。(まあ私が勘違いしてる可能性もあるので、もしかしたら「謎」ではないかもしれませんけど)

真相は闇の中エンド、いいと思います。

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