どうも。
twitterの読了ツイートを見て、「あー。なんか表紙がめっちゃ好みだなぁ」と思って手に取った一冊。
なので作者さんの事とかまったく知らない状態から読み始めたんですが、正直読むのが困難だった。
文章に癖があるとかそういうのではなくて、この作品みたいなスロースターター系の作品って、面白くなるところまで無事たどり着けるかが課題だですよね……。
私が思うに、この作品が一気に面白くなるのは第四章からで。
第三章まではむしろ「なんかこう……、よく分からないけど、腑に落ちないんだよなぁー」って気持ちが続くんですよ。
面白くないわけじゃない。
文章が読みにくいわけでもない。
ただ、漠然とした感じながら“違和感”がある。
推理がしっくりこないというか。
「えー。そんな感情論を持ってきていいの?」というか。
杜撰とまではいかないけど、どこか腑に落ちなくて、なんか変。
正直この“しっくりこない推理が作者の力量なのか、もしくは意図があるのか?”が分からなくて、「まあ、読み始めたし……、とりあえず読むかぁー……」と消極的に読み進めていって、第四章。
ここでガラッと、しっくりこない推理の意味が判明してからがこの作品のはじまり。
というか、醍醐味。
探偵役がまさか主人公のために「都合のいい推理」を披露してるとは思わんやん……?!
嘘は言ってないけど、真実もいっていない。
名探偵コナンが好きな私としては、「た、探偵が真実を話していないだと……?!」とひとり勝手に戦いていましたが、許してほしい。
だ、だって、私が知ってる探偵って江戸川コナンやシャーロック・ホームズみたいなのが多かったから、この話の探偵みたいなタイプはいなかったんですもん……!!
探偵が真実を話してないとは、思わないやん?
探偵が望むのは真実ではなく、主人公のための「事実」。
主人公が気を病まないためだったら、語られた話の中から必要な要素を取り出して、都合のいい「事実」を披露する。
だから読んでる側から見るとなんか歪で“違和感”があった、というのが真相。
それって探偵役としてどうなん?! ってなるけど、探偵って役割が「真実を追究するもの」だと勝手に思い込んでいるのは読者の側なんですよね……。
探偵が常に真実を追い求めるかといえばそうではない。
第三章まで薄ぼんやりと感じていた「なんかこの推理、しっくりこないなぁー」が、実は「探偵役が意図的に真実を伏せて語っていたから」ですっきりする構図が好き。
別ジャンルで申し訳ないけど、読み終わった後の気持ちはまさしく、「愛がなければ謎は解けない」。
もしくはこの作品における各章の真実は、実のところ重要ではないのかもしれない。
探偵は真相を追い求めるのが役割だとは思うけど、この話の探偵みたいに愛する人が傷つかない推理を披露する人がいてもいいよね……。
けどまあ、第三章までは本当に「このしっくり来ない感じは作者さんの力量なのか? それとも意図的にやってるのか? どっちなんだろう??」と首を傾げながら読んでたので、辛抱強く読み進められる人でないと第四章まで辿り着くの大変なんじゃないだろうか……?(それか、この作者さんを愛読する読者さんはこういう展開に慣れてるのかな……?)
「この章まで我慢したら面白くなるから読んで!」っていう状態はそれなりにありがちだけど、その前にギブアップする読者も絶対にいるだろうからなぁー。
最後まで読んだら面白かったけど、だから「もったいないなぁ」と思う作品でもあります。
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