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読書感想小説

【ネタバレ有】命みじかし恋せよ乙女/辻真先【初読感想】

この記事は約8分で読めます。

序盤から中盤は今後の展開が分からなくて、「一体どうなるんだろ?」と周囲をキョロキョロしながら読むんだけど、終盤に差し掛かった瞬間に視界が勢いよく開けるというか、「あ! これ、こういうことだったの?!」と分かる快感が癖になりそうな一冊。

というか、とにかく序盤と中盤の事件が起こってるんだけどよく分からない不安定な感じが終盤の謎解きで一気に晴れる。
伏線だと思っていていなかった部分が伏線だったり、「……あれ? これって意味あるのかな?」と思っていた部分が重要だったり、終盤からの伏線回収がすごいので、もうそれだけでお腹がいっぱいになる。

大器晩成型小説ってやつだと思う。

逆に言うと、序盤と中盤では人は死ぬけど事件の緊張感はあまりないし、ドキドキ感も少ないので、終盤まで根気強く読んでいく必要がある本……って感じ。(序盤と中盤は悪く言えば地味なんですよね……、その分終盤の見栄えの良さと格好良さが際立ってるんだけど)

まじで序盤と中盤の訳の分からない感じの時は、「これって事件解決するの? そもそも事件って起こってるの?」って気持ちだったのに、終盤から一気に「あああ!! なるほど!」ってなるの、すごい。

そして作品の中に漂う、江戸川乱歩の気配。

まあ、この話自体が天下の名探偵「明智小五郎」の少年時代という設定なので、江戸川乱歩をリスペクトした話なのは間違いないんだけど、犯人の事情やそのあたりから漂う反モラル的な空気感は、私が知ってる江戸川乱歩です。
男と女の泥沼というか、とことんすれ違って救われない人間模様というか、最後の展開とか。
読んでいて、「あー、江戸川乱歩だなぁー」と思ってました。

明智小五郎の少年期の話だけど、最後の最後で実は怪人二十面相の若かりし頃も登場していたと判明するのも、江戸川乱歩好きな読者心をくすぐるニクイ演出なんだよなぁー……。

というわけで、「命みじかし恋せよ乙女/辻真先」の感想でした。

序盤の取っつきにくさがあって、なかなか読むのに時間がかかった作品なんですが、終盤からの追い上げがとにかく面白いので、江戸川乱歩が好きな人は読んでほしい。
そして終盤まで頑張ってほしい。

それでは、次の一冊でまた。

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