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歴史もの読書感想小説

【ネタバレ有】馬鹿化かし/藍銅 ツバメ【初読感想】

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面白かった!!

いやぁー、一回本屋で見かけたときは「面白そう……? でもなぁー……」と思って手を出さなかったんですが、今回なんとなく読んでみたんですよ。

面白かった!!(大事な事なので二度言う)

死神に取り憑かれているせいで親しい人間が次々と死んでいく死刑執行人・山田朝右衛門と、不老不死の男(ただし一部の人間には馬とも鹿ともつかない顔に見える)服部半蔵の物語 in 幕末。
周囲の人間がことごとく死んだのでもう人間と必要以上に関わらないと決めている朝右衛門にぐいぐいと関わってくる半蔵のゼロ距離交流がいいし、なんやかんやで朝右衛門が半蔵に絆されていく展開がいい。

このふたりの掛け合いだけで、にまにまできる。
帯にあるように、それ以外にも安倍晴明の子孫やら、幕末でお馴染みの吉田松陰や、土方歳三、沖田総司も出てくるのもいい。(まあ、安倍晴明の子孫以外は短編小説のゲストキャラ的な扱いなので、あんまり深くは作中に関わってこないんだけど)

半蔵が朝右衛門に向ける感情が、忠義だし敬愛だし、ワンコだし。
対して朝右衛門が半蔵に向ける感情は……、信頼? 友情? でもいなくなったら探しに行くよね、胃袋捕まれてるし、もう離れられないよね? ってなるのがいい。
BL小説も読む私にいわせると、このふたりの関係はもう主従愛なんですが、もっとこう、いい言葉がある気がするんだ……。語彙力が少なくて申し訳ないけど、こう、なんか「尊い!」って叫びたくなる、この絶妙な距離感が素敵なんだ……。

朝右衛門が死んだらまた生まれ変わるのを待つって……、半蔵、お前……、めっちゃ重たいけど、読んでる私はすっごく顔がにやけちゃうよ!

そして舞台が幕末で、なおかつ主人公の山田朝右衛門が死刑執行人というお役目を担っているので、首がよく飛ぶ。

山田朝右衛門って、歴史上に実際にいた御様御用なんですね……。
私は地獄楽に出てきた山田朝右衛門ぐらいしか知らないんですが。

文体のテイストが明るめなので読んでいてあんまり気にならなかったけど、読み終わった後で考えると、結構首が飛ぶ。人が死ぬ。
半蔵にいたっては不老不死なので、再会した朝右衛門に斬られるところからはじまり、色んな人に斬られる始末。

むしろ半蔵が派手に斬られるのが、派手なエンタメになってる。

逆にいうと、幕末を舞台にした重たい歴史物を想像すると、肩透かしを食らいそう。
私はいい方向で明るいエンタメ調のこの話が気に入ったので、面白かったです。

最後の話の終わり方からして、続きがあるのかな。
結局半蔵は不老不死のままだし、朝右衛門も作中で色々あって死神に取り憑かれながらもずっと生き続けるかもしれない運命になってるし。
このふたりが幕末を越えて、太平洋戦争、現在と生き続けていく様をこの目で見てみたいんだよなぁー。
作者様、この話の続きを書いてくれないかな。

でもこの話は死神に取り憑かれて孤独に生きてきた朝右衛門が半蔵と出会って再び心を取り戻していく話でもあるから、続きがあると蛇足になっちゃうのかなぁー。
だとしたら、朝右衛門がどこかの時点で死んで転生して、その転生した子と半蔵が再び巡り会うって話でもいいんですが!!

というわけで、「馬鹿化かし/藍銅 ツバメ」の感想でした。
血飛沫は飛ぶけど明るいエンタメなので、意外と色んな人に勧められそう??

それでは、次の一冊でまた!

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