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BL読書感想小説

【ネタバレ有】その花の名を知らず 左近の桜/長野 まゆみ【初読感想】

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うわぁー、訳分かんねぇ!!

訳が分からなくなるのが長野まゆみ劇場だとは重々承知しているんですが、それにも増して訳が分からない感じ。
死者の魂やこの世のモノではない何かを引き寄せる厄介な体質を持った主人公の話です。
いや、これ三巻までは短編小説だったんだよな。
短編小説なので、短いページ数の中に起承転結があって、それなりに結末があって、悩まずに読めたんだけど、それを長編小説に仕立てるとどうなるのか? という本。
短編小説だと幻想と現実の境目が一カ所ぐらいしかないけど(そして意外とさっくり主人公は現実に戻ってこれる)、長編だと夢が終わってもまだ夢みたいな、「現実はどこにあるんですか」方式になるし。
短編小説だったら登場人物の数が制限されているけど、長編になると、次から次へと登場人物が増える。こんなに増えるの? って具合に増える、今回に限っていうと偽名を使ってる人もいてさらにややこしい。

結論、このシリーズ……、長編に向かないんでは……??

短編小説の短さでようやく理解の範疇にあった世界観が、突然解き放たれてしまった印象。
今まで“厄介事を引き寄せる体質”として扱われていた主人公のルーツがおぼろげに開示されていくんだけど、これがまあ、ややこしい。

そして基本、何も分からない。
短編小説だと「つまり……、こういう話?」となんとなく想像できるものが、長編になると色々折り重なっていって、分からなくなる。

でも長編だと長野まゆみさん独特の小難しいけど美しい文章と言葉の羅列が存分に堪能できるんで、「理解できないから長編小説なんて読まん」とはならないんだよなぁー。
長野まゆみ、恐るべし。

理解できないなりに、この本の世界観をたっぷり堪能できるので楽しい。
そしてその楽しい感覚が心地良いので、読み終わった後もそこまで理解できなかった不快感がない。
あと長年、長野まゆみさんの小説を読んでいる身としてはこの手の「訳の分からない感じ」にも慣れているので、「へぇー、うんうん。長野まゆみさんだわー」で納得してしまう。白いひつじみたいな謎がほぼすべて明かされる本も存在するけど、長野まゆみさんの作品って基本訳が分からない事が多いから)

たとえば理解できる文章だけど内容がつまらない小説と、理解できないけど内容と雰囲気が物凄く良い小説だったらどっちが好みよ? という二択なんだけど……、私は圧倒的に後者なんだわ。

とはいえ、今回は本当に訳が分からない(本を途中まで読み進めて理解出来たと思った瞬間にまた突き放されて、理解できないスタート地点に戻されてる感じ)ので、せめて今回の本に関しては家系図でもつけておいてくれると良かったかも。

というわけで、「その花の名を知らず 左近の桜/長野 まゆみ」の感想でした。
これ、多分続編があるんだろうな。
だって結局、主人公の体質についてはいまだ謎のままだもんなぁー。
ただ最近になって1巻から読み始めた身としては、今回の4巻までノンストップで読めたけど、5巻目はいつ出るんだろうか。

それでは、次の一冊でまた!

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