人形ホラーといえば、一番怖いのは「チャイルドプレイ」なわけですよ。
私自身、チャイルドプレイは一種のトラウマなわけでして。
そのチャイルドプレイと比べると、いまいち怖くないのが本作。
ホラーとミステリーの合作。
そこに、少年の成長を入れた、ヒューマンドラマを少し。
がっつりホラーではないので、ぬいぐるみのルーカスが人をどんどん殺していくけど、グロさはないし。ミステリーといえばミステリーなんだけど(ルーカスに宿っている悪霊の名前を当てられたら悪霊の力が弱まるので)、真相が真相なので「え。それでいいの? 反則じゃない?」と思わなくもない。
真相については、少年の成長(苦しいことを乗り越えて、少年は大人に成長する)って考えると、しっくり来るのかな……?
万座亜紀が流産した後で胎児を庭に埋めて、その魂が大事にしていたぬいぐるみに宿って?
万座家が全焼して、ぬいぐるみが逃げ出して?
それを主人公のタケシ君が拾って、ぬいぐるみを家族のように扱ったから心が芽生えて……?
……いや、そもそもどうしてぬいぐるみに魂が宿ったん? そして、どうして逃げ出した??
このあたりから、ちょっと話がこんがらがる。
万座亜紀の魂(ないしは真相途中で明かされるもう一人の人物の魂)だったら、まだやり遂げてない目的があったから、でしっくりくるんだけど、真相通りの魂だと「え? なんで逃げたん?」になるんだけど。
なんというか、真相にひねくりを加えようとした結果、違和感が出てるというか。
個人的には、ミスリードになっていた人物の魂が犯人でよかったんでは……?
私が読み間違ってる部分があるのかもしれないけど、真相通りの魂が「生まれたての無垢な存在」だとしたら、タケシ君と出会う前のその子は一体どうしてたんだ……?(万座夫妻がまったくぬいぐるみに触れなくて死亡したってことなら、ぬいぐるみが焼け跡から逃げ出す理由が分からないし。あの父親が河原まで持って行ったわけでもないよね?)
最後に苦々しさを残さないようにするためには、犯人は万座夫妻じゃ駄目だったんだろうけど、なんというか、「ん? これはどういうこと?」というのが多い。
苦々しさがない分、こう、違和感のある綺麗さで終わった印象。
なので。
ホラーとしてはそこまで怖くないし。
ミステリーとしては、「じゃあ、真相通りの魂が最初に逃げ出した理由は?」ってなるし(この点は私の読み落としがある可能性もある。さすがにそこを書いてないとは思えないので、見落としたのかな)。
主人公の成長譚してのヒューマンドラマと考えると、ミステリー部分が気になって、「ようするにご都合主義か……?」ってなる。
前回のバーニング・ダンサーが結構私好みの痛快エンタメ小説だったので、今回のはちょっと期待値が高かったのかな……。
というわけで、「ルーカスのいうとおり/阿津川辰海」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
⇒個人的にこの作者さんの作品の中で一番好きな一冊です。
⇒ヒューマンドラマの強めな小説といえば、こちらもオススメ!
⇒人が傷つかないあったかい短編小説です。正直、本当に「光!」って感じの小説なので、闇が好きな人にはオススメしません。

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