twitterで表紙を見て、「うぉ、いい感じ!」とワクワクし、タイトルの「民俗学」に「民俗学かぁー……。面白そう」となって、手に取ってみた一冊。
んー、民俗学って感じではあったんだよな。
民俗学のテイストというか、民俗学と言われて想像するものをテーマにおいて話が進んでいくので、「民俗学」の話なのは間違いないんだけど、民俗学に惹かれて読むとちょっと物足りない気がする。
というわけで、読み終わった感想なのですが。
なんというか、あんまり読んだことがない雰囲気の本だったなぁー。
ただこの「読んだことがない雰囲気の本」っていうのは、「なにこれ?! めっちゃ面白いやん! はじめて読むわ!! 面白い!!」って前のめりにワクワクする感じではない。
むしろこの本は、ワクワクしない。
なんていうか、すっごく静か。
すっごく穏やか。
平穏。
淡々としていて、波風もすくない。
思えばこの時点で、「探偵譚なのに平穏とは……?」となるんだけど、まあ、そういう雰囲気が漂う本なんですよねぇ……。
タイトルにある通り、展開としては「謎解き」なんだけど、その謎も読んでいる私に解かせるというよりは、語り手が謎を提示してそのままの流れで答えも言っていくテイストの本なので、探偵が謎を解くワクワク感はない。
謎は用意されてるし、不可解な出来事も起こってるけど、読む前からなんとなく「あ。この謎はきちんと意味があるんだな」と分かるので、謎解きの面白さはあまりない。
この本の雰囲気をどう説明したらいいのか迷うんだけど、“物語の登場人物の会話を一緒になって聞いているような空気感”かな? と思う。
この空気感をどう表現したらいいのか迷う。
話の流れを楽しむ本なのかな? とも思う。
実際に話の半分以上は地の文がない会話劇になっているし、地の文が入っている部分もあんまり地の文に重きを置いた構成ではないので、ほぼほぼ台詞がメイン。
その台詞での会話劇を追いかけていくので、登場人物達の会話を聞いてる感じか。
みんなが集まってわいわい話をして、そして解散! ってなった時に、「面白かったけど、あれ、どんな話をしてたっけ……?」ってなるような感覚。
でも覚えてないけど、なんか楽しかったなとは心の中にある。
台詞劇が主でも読みにくいとは思わなかったし、ワクワクドキドキはしなかったけどそれなりに面白かった(話が上手な人のオモシロ話を聞いてるような感覚?)ので、私は満足してるんだけど、特に心に残るものもなかったんですよね……。
するっと読めて、するっと終わる。
読むのが苦痛ってわけではないから最後まで読んだけど、だからといって何かが残るわけでもなかった。
読書というのが常に心に何かが引っかかるものでないのは分かってるけど、でも何か余韻ぐらいは残ってくれてもいいのかなと思う。
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