タイトルから「ダークヒーローものかな?」と思って手に取ってみた一冊。
実際に読んでいくと、うん、まあ……、これはなんだろう?
私には作者の悪意みたいなのが透けて見えるような気がした。
なんかもう、「作者の悪意」なんだよね。
作中で「悪」として主人公達と対峙する“異人”たちは、世界的に問題になっている不法移民のことだと察しがつくし、察しがつく上で“異人”を非人間的な動物的でまったく人間(作中でいうなら日本人)とわかり合えない生物として描いてる。
この終始徹底した“異人=悪”の構図のせいで、“異人”達が主人公達の敵というより、ただただ悪としての記号として描かれていて、主人公サイドの姿勢も「“異人”は子供であっても処刑すべし」なので、読んでいて気分のいいものではない。
作者さんがひたすら“異人”を“悪”であり“殺されても文句がいえない人間以下の生き物”として描きたがっているのは執拗なほどに伝わってくるんだけど、読んでいる私からすると「……そこまで救いようのない存在として、“異人”を描く意図ってなに?」となってしまって、話に集中できなかった。
“異人”も人間なので、人間である以上は色んな思想はあるだろうし。
そこら辺の「人間らしさ」をそぎ落とした記号としての“異人”の描き方が、気持ち悪い。
“異人”であれば子供であっても人を殺し、女は強姦され、国は食い散らかされる……、作者さんが描いている“異人”って、もう国籍不明の人間ではなくて、エイリアンとか地球外生命体にしてくれたほうがずっと読みやすそう。
作者さんがことさら不法移民や不法滞在者の外国人が嫌いで、その嫌悪がこの話における“異人”に反映されているということなのかな……、分からん……。
話の最後に絵留が「自分達は殺戮集団ではない」と言ってるけど、でも作中の主人公が“異人”を殺すシーンの描写には、人の命を奪う感覚が伝わってこないし、十分に殺戮集団なんだよな……。
もしかすると単純に私が今のご時世を反映させて読んでいたってだけ……とも思いたいんだけど、でも、外国人参政権とかtwitterをやってると時々目にする言葉が出てくるので、やっぱり異人=外国人(その中でも日本に対して敵対的な人達)がモチーフなんだろうなって思う。
この異人を徹底的に悪として記号化した上で、主人公に殺させていく話なんだよな。
ダークヒーローものだと思って読んだら、さっぱりダークヒーロ-感はなく、この本との相性は最悪だった模様です。
久し振りに「あ。これ、相性最悪だ」って本にぶちあたったなぁ……。
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