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リバース/五十嵐貴久|これってやっぱ狂気は伝染していくって話なのか??【ネタバレ感想】

この記事は約3分で読めます。

というわけで、この間からぼちぼち読んでいるリカシリーズの三冊目“リバースの”感想です。

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二巻目の「リターン」で明らかにリカがお亡くなりになってて、でもなんか尚美さんと菅原さんの関係がリカと本間の関係に似ていて、「え。これって、深淵を覗く者は深淵に覗かれてるっていう例のアレ?」となったんですが……、三巻目を読み終わっての感想を言うと。

これ、めっちゃ伝染していく系のやべぇホラーじゃね……??

いや、ホラーっていうか。
人間の狂気に長時間触れていたものは狂うみたいな。
狂気が伝染していくというか。
リカの狂気に長年触れていた(リカを追いかけていた)尚美は、最終的に自我のない菅原と愛し合っているという幻想(リカが本間に対して抱いていたような)を抱いてたし。
それで言うと、リカの狂気は誰由来なの? って話が三巻目の根元なわけでして。

そりゃあやべぇやつを育てた家にはやべぇ奴がいるよね!! という話。

自分を着飾り取り繕う母親と、何でも自分中心で自分の思い通りになると信じている姉の異常な狂気を浴び続けてきた妹が最後の最後で完全に狂うまでの話を、何も知らない一般人の目線で描いたような話……なんですよね……。

最後の最後に、どうして妹が狂ったのかがなんとなく分からない。
まあ母親も母親だし(殺した犬の肉を家族に食わせたり、虐待まがいのことを娘にするような母親だし)、姉も姉だし(自分の思い通りにならないと気が済まない。母親にどんどん似てきて妹に暴力を振るう)、このまま行くと家の中でヒエラルキー底辺の妹が犠牲になっていくしかなく、ぷっつんしてしまったのかもしれないけど、決定打っぽいものがない。

あんな家で育ったらそりゃ性格や価値観がねじくれるのは仕方ないね!! ……というのはおいといて。
何故幸子が家を出ようとしたあの瞬間だったのか、なぜ母親や姉を殺さなくちゃいけなかったのか。

あるいは、人が最後に完全に狂うのには特に理由なんて必要ない……、って話ですか……?

物語として綺麗に人が狂う様を見たいと思うけど、人が本当に狂う時にはそんな美しい経過なんてきっとないんだ……ってこと?

姉になりたかった妹が姉に成り代わったってことかもしれないけど、なんかしっくりこないんだよなぁー……。

じわじわと日常が壊れていく(というかもとよりありふれた日常なんてものは存在しない)けど、一般人の主人公の目線で見ているから、「あ。なんかおかしいな」って感じで終わっていて、最後に謎がとけた瞬間の、「え。あ、やべ……」っていう絶望感がいいよね。

手紙形式で最後まで狂気を知らない(見ていても自分の中で色々と折り合いをつけてしまって深く考えない)主人公のモノローグで語られる小説って読んだのはじめてだったので、すごく新鮮でした。

しいていうなら、最後のほうが手紙形式ではなく三人称になるところの区別が最初分かりにくかったら、手紙の部分だけフォントを変えるとかしてほしかったな……と思いますが。

巻き込まれるという意味では一巻の主人公と同じなんだけど、こっちの主人公の幸子ちゃんについては積極的な落ち度がないので(出会い系サイトでリカに引っかかったわけでもない)、理不尽感が心地いいんだわ……。

というわけで、ごちそう様でした!

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