斜線堂有紀先生の初本。
twitterでよく名前を聞く作者さんだったので気になっていたこともあり手に取った一冊。
廃遊園地でのお宝探し! でも殺人ってついてるんだよね……、これ、冒頭で過去に銃乱射事件が起こったことを示唆してるけど、今回は事件起こるの? 起こる雰囲気がないんだけど……? と話の展開が予想できずに読み進めていくこと数十ページ。
あ、やっぱ殺人事件は起こるんだ?!
このままお宝探しをしつつ、過去の事件の真相を暴きつつ……だと思っていたら、途中で人が死に、お宝探しは棚上げになる事に。
でも最後にはお宝探しの意図も分かる。
色々とギミックが多彩な遊園地のアトラクションに、お宝探しのために集められた訳ありな登場人物達……、あれだな、ここまで色々用意してそれで事件が起こらないはずがないってやつなんだよなぁー。
選ばれたものしか入れない廃遊園地にリストバンドと来ると、私は「……え、リストバンド爆発する?」とそっちの方が気になってしまいましたが、そんな名探偵コナンみたいなことは起こらない模様です……。
最初はただの遊園地関係者だったり廃墟好きだったりを名乗っていたのに、ページをめくるごとに登場人物達の真相が分かってくる様子は、まさに王道ミステリーでした。(むしろここまで訳ありの登場人物達を揃えた主催者の暗黙の悪意(事件が起こるのは必然みたいな)を感じるんだけど……。まあ、この話の主催者って部外者だったしなぁ……。主催者が動かなければ今回の事件起こらなかったよね? って気持ちもなくはないけど、それを言い出すとミステリーが成立しないしなぁ……)
んー、ここまで感想を書いてて思うのは、この作品、つまらないとは思わないけど、読み終わって感想文を書いてるときにめっちゃ楽しくなる類いの作品じゃなかったってことなんですよね……。
みんな読んで! 面白いから読んで!! とはならない。
なんというか、「んー。そうか、そういう結末か……。うん、そうかぁ……」となんとなくしっくり来ないまま本を閉じるような感覚。
展開は分かるし、登場人物もわかるし、面白かっただけど、なんか心に残らない。
遊園地が廃墟になったきっかけや、それに至るまでの人間模様や、一体誰が銃乱射事件の犯人だったのか? など、色んな謎が散りばめられていて、読み進めていくうちに一つ一つが明らかになっていって、そこに絡む人間模様も分かってくるし、面白いと思うんだけど。
この心に残らない感じは、なんなんだろ……?
登場人物達にあまり感情移入できなかったせいかな…………??
犯人の心境とか、想像はできるんだけどしっくり来ないというか。
前のめりに「あ、このキャラいいな!」って思うキャラがいなかったからかな。ミステリーを主とする小説(登場人物よりも物語のギミックに重きを置いた作品?)だと、こういう感じなのかな……??
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