あの「坂本龍馬」と「土方歳三」がタッグを組んで、徳川慶喜公暗殺未遂事件の謎に挑む! という触れ込みが面白すぎたので、手に取った一冊。
相棒っていうと、私の中では杉下さん達が出てくるテレビの印象なんですけど、いがみ合いながら互いに理解を深めていくふたりの共演が面白かったです。
最後まで読めば面白いけど、序盤がちょっと読みにくいかなとも思うけど。
序盤がとにかく読みにくくて、一回本を閉じたんですが。
「でも、読み始めたからにはなぁー……」と思ってまたページを開いて、のんびり読み進めて行ったら、中盤の徳川慶喜公暗殺未遂事件の真犯人が分かるぐらいで、「お。これは面白いかも……?」となってくるので、スロースター系の小説かもしれない。
序盤は耐えろ。中盤から面白くなるから! っていうあれですね。
時代物(幕末)だから、とにかく人の名前が小難しいし場所の名前もややこしいし、なおかつ私(読者)に状況の説明をしなくちゃいけないから、そりゃあ文字が過密になるよなぁーという印象。
時代物の弱点って「その時代の説明が前提になるけど、あんまりに詰め込みすぎると読むのが大変」って事なのかもしれない。(特に登場人物が史実の人物だとその周辺の説明も入るから、尚更説明文が多くなるんだろうし)
そういう感じで序盤の説明の多さに怯んだんですが、中盤を過ぎると面白い。
イメージとしては、事件が起こって犯人候補達の証言を聞いて、ようやく犯人が分かってきたあたり、かな?
というか、話がふたりがコンビを組む徳川慶喜公暗殺未遂事件からはじまり、龍馬が死に、土方が死に……、と展開するのが好き。
特に徳川慶喜公暗殺事件から龍馬の死の話が終わるまでの下りが、暗殺未遂事件を捜査していた時に土方さんと龍馬の間で確かに芽生えつつあった感情(こいつは信頼できるっていう確信めいたもの)を感じさせる展開なので、胸アツなんですよ。
読んでた時は「暗殺未遂事件でなんやかんやでふたりとも仲良くなって、「死ぬなよ」みたいな感じで終わるのかな?」と思ってたので。
暗殺未遂事件で話が終わらなかったのもびっくりなんですが、龍馬の死のくだりで土方さんが龍馬を殺した相手に向かって感情を見せるシーンは、「お、お前! そこまで龍馬のこと評価してやってたら言ってやれよ!! 本人に!!」って気持ちになった。
まあ言わないのが土方さんなんだろうし、あのシーンは土方さんと犯人しかいない(で、犯人は土方さんに切られる)ので、誰も知らない言葉なわけで、そういう不器用さを感じるのも土方さんっぽくて好きだなと思う。
最初こそ難解だったけど、最後まで読めてよかった。
でも時代物は私には向かないのかもしれないな……。(弥勒の月シリーズは普通に読めるなら、説明文が多くなりがちな小説が苦手ってことなのかもしれないけど)
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