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読書感想小説

【ネタバレ有】予言の島/澤村伊智【初読感想】

この記事は約11分で読めます。

どうも。
タイトルがなんとなく気になって、手に取ってみた一冊。
かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が生涯最後の予言を残した場所を舞台にした、ミステリー&ホラー。連続して起こる殺人は事件かホラーか、あるいは事故か……? という話。

ある一点を超えるまでは、社会派ミステリー寄り。
ある一点を超えた瞬間に訪れる、得体の知れなさがまさしくホラー。

読み終わった後の感想は、「……どうすんだ。これ」でした。

「どうすんだ、これ」って本の感想ないなぁー。

この本の本質というか真骨頂を味わおうと思うと、再読必須なんですよ。

で、再読するかどうかを迷う一冊という……。
なので、「どうすんだ、これ」が本の感想なのかというと、迷う。

一回目は「呪いは存在するのか?」「存在しないとすれば、なにが「呪い」なのか?」という視点で話が進んでいくので、ミステリー色が強い。
呪いや予言を信じる登場人物はいるものの、「呪いも予言も存在しない」と断言するキャラの行動力のおかげで、霧久井島(舞台になっている島)にはびこっていた怨霊の正体が剥ぎ取られ、その下で蠢いていた人間同士の打算や集団心理の気持ち悪さが明るみになっていく。

読んでる側からすると、「なるほど……。このままミステリーで終わるのかな……?」という印象。

ミステリーとしては最大の謎である「山から降りてくるヒキタの怨霊とはなにか?」が早めに分かるので(色んなミステリーを読んだ事がある人なら、「これ呪いじゃなくて有毒ガスなんでは……?」と気づくだろうし、私も勘づきました)、そこまで難解じゃない。
むしろこの「ヒキタの怨霊」を巡る人間の心理が浮き彫りになってくるにつれて、「に、人間ってなんでこうも馬鹿なんだ……??」となってくるので、人間の嫌な部分を存分に味わえる。

なので、驚きよりも社会派ミステリーという感じ。

……で、謎がとけて、この話の被害者のひとりである古畑を助けにいく段階で、ホラー要素ががっつり出てくるんですよねぇ……。

このホラー要素は、賛否両論、でないか……??

この作者さん、前に読んだ斬首の森で酷い目にあったので、警戒してました。
今回も似たような展開があるんでは……? と思ってたけど、まんまと騙されましたね……。

今回の話はミステリーがそこまで突飛ではなく、どちらかといえばじっくりと人間の自己中心かつ欺瞞に満ちた部分を書いてあるので、「面白かった!」というよりは「なんか色々考えさせられた……」って感じなのですよ。

一方でホラー要素は、今まで気づかなかったものがいきなり目の前に現れる感覚。
気づけばすぐ後ろにホラーがあって、でも実はずーっと後ろにそいつはいて、「え? いたの?!」という感じ。

最後まで読むと、この話はミステリー小説の皮を被ったホラー小説(サイコホラー)であり、ホラー要素は知らぬ間に作品の中に散りばめられていたと分かる。
そこで、まあ、思うんですが。

この本を味わい尽くそうと思ったら再読必須なんだろうけど、もう一度、読みたい……?

「いや、いいか」って思わないぐらいには面白かった。
終盤で分かったホラー要素のトリックも読み込んでみたい……、でも、この「あと少しで読み終わると思っていた本が実は再読必須で、また最初から読み直す必要があると分かったときの徒労感」がどうしても好きになれない。

まあ、絶対に読み直す必要があるわけでもない。
面白くなかったら、それこそ再読要素があっても放置すればいいだけの話。
なのでこの本は「再読?! う、うん……」と戸惑うぐらいに面白かったし、作品内に散りばめられたホラー要素を回収していきたくなる話だったんだけど……、そう思ってても、再読があんまり好きでない私としては、対処に困る作品だった。

やっぱり、「どうすんだ、これ」なんですよね……。

時間ができたら、再読しようかな。

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