以前に読んだ「刀と傘」が面白かったので、同じシリーズを読んでみたいと思って手に取った一冊。
というか、前作の前日譚。
ネタバレを避けたくてあんまりあらすじを見てなかったので、読んで前回と同じ鹿野師光が出てきたときは、「え。同じ主人公?!」とびっくりしました。
んー。時代物ってあんまりミステリーには向かないのかも?
……前作のほうが面白いな……?
「雨と短銃」がつまらないわけではないけど、こう、「めっちゃ面白かった!最高!!」って前のめりになるほどじゃなくて、特にワクワクすることもなく最後まで読み終えてしまった感じ。
土方さんとか桂さんとか西郷さんとか、龍馬とか、歴史上の名だたる有名人が出てくるけど、そこまでエンタメ感もないし。淡々とするすると物語は進んでいく。
時代物ならではの漢字の多い地の文に苦戦したのもあってか、読み終わった後の「あー!! 読んだぁ!」って感じがあまりない。
前作が私好みのバディものだったのも理由なんだろうけど、多分前作のほうが面白く感じたのは「短編集」だったからだと思う。
時代物の推理小説って、難しいのかな。
なにせ舞台が幕末なので、ミステリーにお馴染みの指紋や科学捜査は一切なし。使えるツールは状況証拠と証人の発言、時代的に現場写真すらない(写真技術はあったけど高価すぎて現場を撮影できるわけがない)ので、人の記憶のみが頼り。
その中で犯人を作り、ストーリーを作っていくとなると、めっちゃ難しいんだろうな……。
特に今回の「雨と短銃」は長編ミステリーなので。
慎重に話を読んでいくと、まあ……最初に起こった人斬り事件の犯人は、中盤ぐらいでなんとなく察しがつくんですよね……。(羽織がないのと脇差ししかないって時点で、おおよそ犯人候補はあの人じゃね? となるし、それ以外の犯人候補が出てこないので)
で、当たりをつけて読んでいくと本当にその人が犯人なので、「お、おう……」ってなる。
中盤あたりで察しがつくから、なんというか、どんでん返しみたいなものがなくて、驚きもあんまりないままスルスル読み進めて行く感じ。
順当に読み進めて行った結果犯人が当たるので、いいっちゃあいいんだろうけど、私はどんでん返し(もしくは順当に犯人を当てたとしても得られる満足感)がほしかった。このあたりのさじ加減も難しいよね……。
状況証拠+証人のふたつでミステリーを作るなら、前作みたいに短編にして「犯人分かりますよね。はい、この話は終わりです。では次!」みたいにやってくほうが、ストーリーの展開があっていいんだろうな。
でもそれは私の好みの問題なので、多分この作品を相性が悪かったんだと思います。(個人的にこの作品の犯人が私は史実上嫌いなので、彼が犯人として描かれる事に何ら抵抗がなかったから(言い換えれば固定概念から来る「この人は犯人じゃないだろうな」がなかったから)、すんなり動機とか想像できたのかなって思うし)
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