というわけで、左近の桜3巻目!!
1巻と2巻を読み終わって、2巻目で「おいおい。これからどうなるんだよ、柾が本気で主人公に手を出していくの? え、マジで??」となったわけですが、3巻目はなんか比較的穏やかでした。
んー。作者さん、方向転換した??
露骨なBL描写もなく、幻想小説の雰囲気がつよくなった印象。
私としては3巻目で結構ガチ気味に柾が主人公を自分のものにしようとするはずと信じていたので、この、柾さんがあまり登場しない展開(過去話や話の裏事情に登場することはあるけど、表舞台には出てこない)は想像してなかった……。
今までは12ヶ月を12個の短編小説にわけて収録されていたので、3巻もそういう仕様なのかな? と思っていたけど、そんなこともなく。
今回からぐっと数を減らして、4つの短編小説になったのも理由の一つなのかな?
話数が少なくなったので、これまでに登場していた主人公の親友や、主人公の実家に下宿していた人達の出番がなくなったのが残念といえば残念なんだけど。
でもそれでこのシリーズの魅力が減ったか? って考えると、そういうことはなくて。
むしろ各話に割くページ数が増えたおかげで、ますます主人公の“この世以外の場所に踏み入れてしまう”体質が明確に書かれていて、読んでて「あぁー、これ、長野まゆみさんの作品だなぁー」という気持ちになるのが不思議。
ただ、静かな作品なんですよ。
こう、いつもなら感情のままに感想文を書くんだけど。
今回は感情のまま言葉が溢れてくるというよりは、慎重に「……つまり、こういうことだよね?」と確認しながら書いているんですよ。
そして3巻目を読んで思ったんだけど。
私、もしかするとこの話のラストを見誤ってるかも……?
てっきり、主人公が誰かと(2巻目の時点で最有力候補は柾だったんですが)結ばれて、ハッピーエンドで終わると思ってたんだけど、3巻を読んでるとその気配がしないんだよなぁ。
主人公はそれぞれの短編小説のなかで、この世以外の場所に飛ばされ、そこで様々な人の想いに触れ、時には相手を導いたりして、現実に戻る。
主人公はずっと何かを導く役割を持っていて、もしかすると誰ともくっつかないかもしれない。
主人公は誰かの物語の終わりを告げるキャラであって、この話の中では主人公だけど、誰かの物語では脇役なのかもしれない。……そんなことをふと想う。
誰かと結ばれる未来よりも、死んだ人間やモノの魂を導く存在として物語の中心にいると考える方が、なんかしっくり来るんだよなぁ。(だから死者からは自分を導いてくれる存在として執着されるけど、生きてる人間との関係はそこまで重たい感じはしないというか)
というわけで、「さくら、うるわし 左近の桜/長野まゆみ」の感想でした。
もしかすると3巻から雰囲気を変えたのかな。4巻目はどうなるのかな。
でもこの感じだと柾さんと主人公がくっつくルートはないのかなぁ。2巻の最後でかなり戦々恐々とした身としては、なんかこう柾さんのリアクションを楽しみにしてたんだけどなぁ!
それでは、次の一冊でまた!


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