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ホラー読書感想小説

【ネタバレ有】火のないところに煙は/芦沢 央【初読感想】

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独立した話だと思ったら、最後で伏線が回収される短編小説って好きですか?!

私は大好物です。

とにかくこの手の短編小説集が大好きなので、最後まで読んで「全部の話が繋がってる……だと?」と気づいたときは、天に向かってガッツポーズをとったりするわけでして。
今回の「火のないところに煙は」は、まさしくそれ。

最後に伏線が回収されます。
はい。ネタバレですね。
それまでは独立した怪談話だと思っていたものが、最後まで読み終わると「あ。まじか……」ってなる仕様。
内容的にそこまで繋がってない? と思っていた話も、しっかりと繋がってる。
私目線でいうと、「なーんか、この第一話目の出てくる占い師、他の話でも出てきてそうだなぁー」とか思ったんですが、最終話を読むとどの話にも関わってるのが分かる。

そして全体的な伏線を入れつつ、1つ1つの短編集にも謎があるのが良き。

ホラーだけど、ミステリー。
最後まで読んだ後に遠くから眺めて分かる伏線と、短編ごとに別れてる謎の組み合わせがバランスがとれてて好き。

特に第五話目の「誰かの怪異」がいい。

「誰かの怪異」ってひらたく言えば、怪異とは? みたいな話だと思うんだけど、娘を小さい頃になくした母親が“怪異=娘”だと思い込んで、行動を起こしていくっていうのが、切ない。
ホラー小説における怪異って、怖い存在なんだけど。
でもその“怖い存在”も元を辿れば人間で、人間として誰かに愛されていて、その愛している人から見ればその怪異は“怖い存在”なのか? っていう謎が凝縮された話。
これって、永遠のテーマじゃないかな。
怖いものとしてホラー小説を消費する時に、その怪異がなにかを考えていくと、それを「怖がって消費していくのは正しいのか?」って疑問が残ってしまうという。(でもあまりに深く考えすぎると結局すべてのエンタメはどこかで不謹慎と紙一重な部分があって、その「不謹慎」を線引きしようとするとそれはそれで「度の過ぎた潔癖さ」にならないかな)

というわけで、「火のないところに煙は/芦沢 央」の感想でした。
最初は私好みの「実は全部繋がってるんですよー」系短編小説だと知らずに読んでたので、読み終わった時の満足感は計り知れない。
でもこういう“最後に伏線を回収する系”の話は、それ自体がネタバレのようなものだから、自分で色んな短編小説を読んで確認するしかないんですよね……。

それでは、次の一冊でまた!

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