当サイトではアフィリエイト広告を利用して商品を紹介しています
ファンタジー読書感想小説

【ネタバレ有】鯉姫婚姻譚/藍銅ツバメ【初読感想】

この記事は約13分で読めます。

ん-……、この、なんとも言えない感じ。

つまらなかったわけではないんだけど、手放しで「めっちゃ面白かった!」と言いたくなるような本でもなくて、こう「うん。面白かったなぁー」という感じ。

素直にいうと、ちょっと物足りない。

すっごく静かな話なんだよな。
静かに話が流れて、静かに終わっていく。

この作者さんの次の作品である“馬鹿化かし”が私の中で結構好きな作品なので(主人公と相棒が最高すぎる)、その話のイメージで読んだからというか、思ってるより期待値が高かったのかもしれない。

ひとまず思うのは。

孫一郎、君はなんで死んでしまったんだ……??

そこがなぁー、分からないんだよなぁー。
孫一郎が死を受け入れる理由が、ピンと来ない。

おたつに関しては、「元々人間を食らう化け物だった」「小さい頃に孫一郎に出会い、すごく美味しそうだと思って追いかけた」「人間と接しているうちに、食欲と愛情をごちゃ混ぜにしてしまって、孫一郎に求婚した」っていうのが分かるんだけど、それに対する孫一郎のアンサーが分からない。

最初はおたつの求婚を断っていた。
これはまあ、おたつが人間じゃないし、結婚に自分が向いてないと分かっていたから。
でも、段々とおたつに心が傾いてしまった。
最終的には、孫一郎はおたつに食べられるわけで、そこでおたつ的にはハッピーエンドなんだけど、孫一郎にとってもなし崩し的ハッピーエンドに見えなくも……ない??

孫一郎にとっては、この世界そのものがしんどくて。
でも、そんな世界で生きていけるだけの余裕があって(裕福な実家。商売上手で自分を慕ってくれて、いくらでもお金を出してくれる弟。何不自由ない隠居生活。ある意味、今でいうところの実家が太いニートみたいな)、生きていけるから生きてるだけみたいな状態で。
そんな中で、おたつに「自分に喰われろ。お前以外食べないから(意訳)」と言われて、ぐらっと来てしまった……、みたいな印象なんだよなぁ。

死ぬ理由がなくて生きていた男が、ようやく死ぬ理由を得て、自分を好きでいてくれる化け物に殺された。そういう話なのかな。

この孫一郎がおたつに対して、ちゃんと恋愛感情を持っていたかは分からないし。
作中、ちらっと恋愛感情みたいなものは描かれてるけど、それは果たして「おたつに殺されてもいい」と思えるほどだったのか。

おたつの求婚を「食欲と愛情が捻れて、求婚という形になった」というのなら。
それに応じた孫一郎は「虚無感と無気力が拗れて、死ぬ理由を与えられたから死んだ」って言えるんじゃないか。

でも、それが人と人じゃないものの愛の形と言われると、そうなんだろうなぁー……。(遠い目)

というわけで、「鯉姫婚姻譚/藍銅ツバメ」の感想でした。
いやぁー……、この話の読み方を教えて欲しい……。
私は、孫一郎が死を選んだ理由が、なんか納得できないんだわ。

それでは、次の一冊でまた!

人ではないモノが出てくる本はいかがですか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました