え、えんためー!!!!
いや、めっちゃ面白かった!
最近、「あ。この本、面白かった」と思う本はあっても、「何この本、めっちゃ面白いやん!」ってなる本はなかったから、久し振りに当たりをひいた気分。
トップセールスマンの主人公が、偶然事件現場を目撃してしまい、自分の命を守るために殺し屋の営業をはじめるという、とんでもない話なんですよねぇー。
いや、まずもって、この営業マン×殺し屋っていうのが面白くないですか。
殺し屋の営業ってなによ。「殺したい人いません?」ってやつかよ。全然イメージ沸かん。
その上で、決められた期間内に2億稼がなくちゃいけなくて、主人公が悪戦苦闘……してないんだな。なんていうか、主人公がめっちゃハッスルしてる?!
なんかこう、死体埋め部みたいなイメージだったので。
死体埋め部の祝部くんみたいに、こう、ズブズブと底なし沼に落ちていくイメージだったので。
想像の数倍、自分から積極的に闇落ちしていってる感じがして、見てて面白かった。
この、一応一般人で真っ当に生きてきた主人公が、どんどん「殺し屋の営業……。命のやりとり、究極のスリリング! うわぁー、楽しいな!!(意訳)」ってなっていくのが、なんか生まれて初めてお気に入りの玩具を買って貰えた子どものような無邪気さなんですよね……。
この無邪気さ、怖い。
話の続きがあれば、この主人公、どんどん血のリストを築き上げていくんだろうなぁ……。
面白かったです。はい。
そんな主人公を中心にして繰り広げられるのが命のやりとりだし、時々心理学用語なのかビジネス用語みたいなのも飛び交って、読んでて飽きない。
一応、裏社会が舞台なので、人は死んでくけど、そこまでグロくないのもポイント。
(いや、裏社会が舞台の小説って物によっては、「内容は面白いかもしれないけど、死体描写や暴力描写がグロすぎて読めない」っていうのがあるんですけど……、その点、この小説は描写は的確だけど、グロさは低いので、思わず本を閉じてしまう気持ち悪さはない)
そして、なんか、格好いい。
この格好良さが、ラノベ的な劇画的かっこよさだったので、「この人、なんか演出がすっごい上手な作家さんだなぁー」と思ってたら、マジもんのラノベ作家さんだったんですが。
なんかもう、全てにおいて納得。
というか、安心。(いや、このクオリティの作品を新人作家さんが書いてたら、なんか次から新人作家さんの本を読むときの基準がこの本になっちゃいますよ)
ただ強いて思うのは、この作品、江戸川乱歩賞受賞作品なんですけど。
……、ミステリー……かな??
めっちゃ面白い作品の場合、作品のジャンルは超越するといえば、まさしくそれ。
でも、江戸川乱歩賞ってミステリーの賞だと思うし、ミステリーって考えると、そこまでミステリーをしていたのかな? って気持ちになる。(ミステリーというよりは、エンタメど真ん中の小説なんですよね)
いや、でもまあ。
めっちゃ面白かったから、いいか。うん。
というわけで、「殺し屋の営業術/野宮 有」の感想でした。
この感想を読んで本を手に取ってもらえたなら、多分私がああだこうだ言わなくても、この本の魅力がドバドバ伝わって、最後まで一気に読み切ってもらえると思うんですが!
私のお気に入りシーンは、あの「魔王誕生」みたいなラストなんで!!
最後まで読んでほしいな!! そして味わって欲しいな!! あのラスト!
それでは、次の一冊でまた!


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