濱地探偵シリーズの第四弾!
このシリーズ、読めば読むほど「これからどういう展開になるんだろう……」って気になるんですよね……。
短編集で、ゆっくりと話は進んでいくけど、基本的には一話完結。
なのでとても読みやすい作品なんだけど、一方で第四弾にもなってくると、「この話に終わりってあるんだろうか?」ってなる。
……いや、多分、ないな。
作者さんがストーリーを思いつく限り、ずっと続きそうな印象がある。
幽霊や得体の知れない化け物が出てくるので、オカルトといえばオカルト。
ただし、怖くない。
なので、ホラーではない。
そして作者さんが有栖川有栖先生なので、ミステリーチックでもある。
けど、本格ミステリーというわけでもない。
このあたりが、めっちゃ絶妙。
この濱地探偵シリーズならではの空気感がすでに構築されていると言いますか。
読んでいて、「うん。こういう感じだよね。うんうん」となる、読み応え。
雰囲気としては、幽霊と人間が混在する世界での人同士の関わり合いって感じだろうか……?
なんかこう。
「この本はこういう話です!」と断言できる要素があればいいんだけど。
人間に色んなタイプがいるように、幽霊にも色んなタイプがいて、そんな色んな者達と関わりながら、困っている人を濱地探偵と助手が助けていく話、なんですよね。
ざっくり言っちゃうとこういう感じなんですが、その基本設定をベースにして、いつも色んな短編小説が出てくるのが素敵なんですよ。
今回も多彩な切口の短編が5編収録されていて、面白かったです!
個人的に好きなのは、最後の話。
幽霊が出てくる話って、幽霊が成仏するのがハッピーエンドみたいに思えるけど。
この話では、幽霊が先に死んだ自分の父親を怖がって成仏できないでいるのを、生きている奥さんが「ずっとここにいていい」って言うんですよね……。
結局幽霊は成仏しちゃうけど、この「ずっとここにいていい」って言葉の優しさと、大事な人って生きていても死んでいても大事な人なんだよなぁー(だから幽霊っていう未知の存在になっても受け入れられる)って柔らかい気持ちがよかった。
というわけで、「濱地健三郎の奇かる事件簿/有栖川 有栖」の感想でした。
このシリーズを読むときの、絶妙な安心感ってなんだろ。
安定の高クオリティで、安心して手に取って読める本、ってところかな。
それでは、次の一冊でまた!
次の読むなら、この本はいかがですか?!
お手軽に読める超短編集! ミステリー・オカルト、なんでもありの作品です!
濱地探偵シリーズの絶妙な「幽霊」との距離感を楽しみたい人にお勧め!
人外と人間の絶妙な距離感を描いた小説です!


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