面白いけど、そこまで面白いわけじゃない。
それは私が、この伊坂幸太郎さんの最高に面白い本を知ってるから。
そう考えると、初期の頃の作品を超える作品を作らなければいけないって、プレッシャーだよなぁー……とこっそり思う。
でも、でもさ。
私は読みたいんですよ。
重力ピエロを越える傑作を、読みたい!!
いや、今回のも話も面白かったんだけど。
面白かったんだけどさー。
帯の「ミステリー」というよりは、「世にも不思議な物語」だし。
終盤で分かる真実(伊坂先生がネタバレ厳禁だと言ってるらしいんですが、その場合どこで発言したかは知らないんですが、帯に書いた方が良い)の伏線はいいんだけど、その後の付随する伏線はなんとなく気づける。
なんというか。
想像の斜め上をぶっ飛ばされたような感覚がしない。
整備された綺麗な予定調和の中にあって(でもこれも伊坂さんの本を読みすぎた結果、ある程度想像できるようになった結果かもと考えると皮肉)、終わってしまう。
やっぱ伊坂幸太郎の作品の好きなところって、「えぐいぐらいに用意された伏線」なんですよ。
その点でいくと、今回の終盤の伏線回収は見せ場のひとつなんだけど。
主人公の量子さんの伏線がひとつ回収されると、もう一つのほうは「あ。多分これ、あれだな」ってなるし、感動がすくない。
というかこの量子さんがそんなにアグレッシブな人じゃないのか、読んでいても何処か、物語の外側にいる印象が強い。
うん。なんか、読んでいて、「おおおお!!!」ってならないんだよね……。
伊坂幸太郎さんの作品だし。
安定した文章。時々挟み込まれる小気味良い蘊蓄。面白い、面白いんだけど。
読み終わった後に前のめりに、「あーーー!! 面白かった!!」ってならない。
この、“面白い”って感覚と、“超絶面白い!”って感覚の間にあるものって、もしかすると作者さん個人では到達できない、読者(つまり私側)の好みの問題かもしれない。
だとすると、この本を“超絶面白い!”と感じた誰かに、この本は語って貰いたい。
(というかこの物語に対するのめり込みにくさって、「敵側の不在」なのかも。漠然とした敵はいるけど、明確な敵は最後までいないから、読んでいてもしっくりこないのかな)
というわけで、「さよならジャバウォック/伊坂幸太郎」の感想でした。
最近読んだ伊坂さんの“パズルと天気”や“楽園の楽園”と比べると、かなり好きな部類に入る作品なんですけど……。
やっぱり私は、重力ピエロを読んだ時のあの興奮を忘れられないんだなぁーと思う。
なので、伊坂さんが重力ピエロを越える作品を作ってくれるのを、やっぱり待ちたい。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
めっちゃオススメしたい伊坂幸太郎作品です!
子どもを持つ母親が主人公の作品なら、こちらもオススメ!
それぞれの母親達による短編ミステリーです。
個人的にオススメしたい!
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