ホラーの短編小説を、余すところなく詰め込んだ一冊。
怪談ものもあれば。
スプラッタ系もあるし。
ホラーゲームを連想する設定もあるし。
読んでいて、物悲しい気持ちになる作品もある。
読み終わると、「あぁー! ホラー小説の短編集読んだぁー!」って気持ちになる。
さくっとホラー小説を堪能したい人向けの一冊。
“怖さ”の方向性がそれぞれ違うのもいい。(私はスプラッタ系の短編小説はそこまで怖いとは思わなかったけど、逆に最後の話はかなり心に来た)
短編小説って短い話の中で、いかに読んでる人間の心に何かを残せるかだと思うんだけど、澤村先生……、エグいなぁ……。
だって面白いんだもん。
ありとあらゆる角度から「ホラー小説とは何か?」が書かれていて、読んでいて面白い。
個人的には、短編集と見せかけた短編連作も好きなんですけどね……。
今回の本は、どの短編も独立していて、独立した上でそれぞれの話に怖さと謎があるのがポイント。
むしろ全部が独立した話だから、「こんなにもテイストの違うホラー短編をよく書けるよなぁー、凄いよなぁー」ってなる。
特に、謎のバランスが好き。
ホラーとしての怖さの他に、この本の中にある凄さって、謎のバランスだと思うんですよ。
ホラーとミステリーって調和がいいっていうけど。
「叙述トリックがあるだろうなぁー」と思っても引っかかるし(というかこの本の中でも、何回も繰り返し叙述トリックが使われているのに、全然気づかなかったしな……)。
気づいた時の、「うわぁー……。まじかぁー」っていう感覚も好き。
この叙述トリックも何回か食らってると、いつかは「あ。この作者さんの本だから、今回も絶対に叙述トリックあるんだろうな」ってなりそうな予感もあるんですが。
今のところ、まったくないので毎回楽しんでます。
そして今回の短編集の中で、一番好きなのが、最後の話。
どこにホラー要素があるのかと思って読んでいたら、最後のどんでん返しが好き。
最後に、恐怖とは違う部分で切なくなるのがいい。
ホラー小説といえば怖い話というのが定番だけど、怖さだけじゃなくて、心にぐっとくる話を読ませてくれる(そしてそんな話の中にも謎が散りばめられている)のが、いいんですよね……。
というわけで、「怪談小説という名の小説怪談/澤村 伊智」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
短編ホラー小説だと、この本もオススメです!
ホラー小説でいうところの「怖さ」とは少し違う、「奇妙な」ホラーミステリー短編小説です!
この作者さんの本の中でめっちゃオススメしたい長編ホラー小説!
マジで怖いです。

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