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【ネタバレ有】怪談刑事/青柳碧人【感想】

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どうも。
堅物現実路線の刑事と、その娘の恋人である怪談師が出てくるオカルトミステリー

タイトルから「刑事ものなのは分かるけど、ミステリーなのかな? オカルトなのかな?」と思ってたんですが、蓋を開けると、ミステリー9割オカルト1割ぐらいの、ほんのり後味にオカルトが残るような短編小説集でした。

そして、めっちゃ読みやすい。

短編6話構成(エピソード含めると7話)でお手頃。
事件は短編ごとに解決するので分かりやすい。
「あれ? この伏線ってどこかで読んだよな?」となった時に振り返りやすい。
かと思えば、全話に渡って貼られた伏線もあったりするので、伏線大好きな私としては「おお!」と感激。
伏線が推理小説初心者の私でも分かりやすいので、読んでいて謎解きをしている感覚が面白い。

これは、謎解き初心者コースってやつではないだろうか……?

いや、推理小説で犯人分かるって面白いね。
今までほぼ推理小説で犯人を当てられた経験がなかったので、この本を読んでるときの楽しさといったら、「は、犯人が分かるぞ! 多分動機も分かる!! なにこれ面白い!!」でした。

推理小説を読んでいるときの「まったく! 犯人が! 分からん!!」という状況になりにくい伏線が素敵なんですよね……。(もちろん推理小説を推理せずに読むのもありなんだけど、やっぱ推理小説だったら犯人を探しながら読みたいよなぁーっていう欲が出てくるので……)

言い換えるとガチの推理小説マニアみたいな人が読むと物足りない気もしそうなんだけど(そりゃあ私が読みながらメモして犯人が推測できるぐらいの難易度なので。短編小説だから振り返りやすいし)、このあたりは「怪談刑事」っていう一風変わったタイトルのおかげで、「あ、本格ミステリーではないんだ?!」となるから大丈夫だと思う。

ミステリーをのぞいた部分も登場人物達の(特に刑事の主人公と娘の恋人の怪談師)会話がぽんぽんとリズムよく繰り広げられているから、楽しい。

「刑事一筋でオカルトなんて信じない主人公」と「職業柄怪談話を収集していてオカルトにすぐに食いつく娘の恋人」の構図が面白くて、定番のふたりの掛け合いが短編小説の中での“お約束”になっていて、水戸黄門の印籠みたいなワクワク感があって好き。

(怪談師って職業はあんまり知らないんですが、そういえば「虚魚」の主人公も職業が怪談師だから、案外メジャーな職業なのかな?)

犯人が分かりやすいって推理小説としてはアカンのかな……。でも、このぐらいの難易度の推理小説があってもいいと思うんですよね。誰しもが超難易度の推理小説に挑みたいわけじゃないし、気楽に頭を動かしながら犯人探しができる楽しみを堪能したいし。

「推理小説は犯人が分からないから好きじゃない」って人にオススメしてみたい。

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