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ホラーSF読書感想小説

【ネタバレ有】消滅世界/村田沙耶香【初読感想】

この記事は約13分で読めます。

この本、まずジャンルで迷うな……。

ミステリーではない。
ホラーとも、言えなくはない。
SF?? の雰囲気もある。

わかりやすく言うと、村田沙耶香の世界なんだわ。

人間の性欲というものが、限りなく希釈された世界。
性欲は存在するけど、必要なものではなく、煩わしいものとして解釈され、極限まで簡単に呆気なく処理する方法が確立した世界の話なんですよね。
好きな相手の子どもを産むっていう概念も薄れていって、子どもはみんなの「子どもちゃん」で大人はみんなの「お母さん」である――という世界まで辿り着く話。

村田さんの話って、いつも「おいおい……。こんな設定なのかよ!」ってなるけど、今回も凄い。

こんな世界をよく思いつくなぁー、この作者さん……と思いつつ。

読み終わってまず思ったのは、「個」がない世界って「個」を大事に出来ないんじゃないかな。ってこと。

集団の愛で、個人は救えるんだろうか?
……というかそもそも、集団の愛は個人を救うために働くんだろうか。

中盤までは性欲とはなにか? が描かれていて、そのあたりは特にひっかかりもなく(むしろフィクションのキャラと恋愛しても気持ち悪く思われないのは、いい事では? ぐらいに見てた)
私の感じる気持ち悪さは、終盤から一気に加速しましたね!

特にみんなの「子どもちゃん」っていうところ。
一斉に受精するから、一斉に赤ん坊が生まれるところ。
元気な赤ん坊が注目を浴びてる一方で、死んだ赤ん坊が消えていくところ。
一斉に赤ん坊が生まれるのは、「動物的だなぁー。なんかの産卵みたいだよな」って思ったし。
死んだ赤ちゃんのくだりは、気持ち悪かった。

なんで気持ち悪いかって言うと、個がないんだよね。
死んだ赤ん坊には確かに母親がいるはずなのに、個がなくて、母親の愛情がその他の赤ん坊に向けられて、この世界は「個」を限りなく減らした結果、どこまでも「個人の死」に薄情になってる気がする。

個があれば、そこには色んなものが発生する。
その中には、愛もあれば殺意もあるだろうし、妬みもあるだろうし。綺麗事だけじゃないだろうけど。
でも「だから個はいりません。集団で愛しましょう。等しく平等に愛しましょう」っていうのは、なんか、小さなデメリットのために大きなメリットを捨てるような行為に思える。

死んだ赤ちゃんっていうのが、その象徴のような気がするんだよ。
母親は悲しんでも良いのに、他の生きている赤ちゃん(集団)を見せて、「貴方の「子どもちゃん」はここにいますよ」は、あまりにも人の心がない。
個がなければ、人の心もなくなる……っていうのも言い過ぎだとは思うけど。
人の感情って、個であるから生まれるものも多いんじゃないかな。

人類っていう生物を存続させるなら、有意義な方法かもしれないけど。
……人類って、存続するために子どもを産むんだっけ……?
「個」に対する愛情をなくしていく人類って、どうなるんだろうね。

というわけで、「消滅世界/村田沙耶香」の感想でした。

それでは、次の一冊でまた!

花邑がオススメする、次の一冊!

⇒特殊設定でのミステリーです。

⇒ヒトコワ寄りのミステリーなんだけど、ぞわっとしたい人にお勧め!

⇒私が一番最初に読んだ村田沙耶香さんの一冊です。

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