どうも。
twitterの読了ツイートで見かけていて、評判がよかったので気になっていた一冊。
タイトルからして女の子が主人公なのかな……、女の子苦手なんだけどなぁー……、と思いつつ、「七日で消える幽霊と女の子の完全犯罪」というキャッチコピーに惹かれました。
なんか素敵なキャッチコピーですよね……。
で、実際に読み終わったんですが、めっちゃ面白かったです。
主人公の黒羽と音葉の掛け合いがいい。
なんやかんやでふたりが信頼してるのもいいし、その信頼が揺らいだりするのもいいし、ふたりを取り巻く犯人候補達もいい味を出しているし。
なにより色んな伏線が散りばめられているので、伏線好きにとっては至福の一冊。
思うのは、“ラストはどこだ?!”ですねぇ。
ほんと、ラストが分からない。
最初の段階でふたりには明確な目的とタイムリミット(幽霊が消える七日後)が提示されてるんで、読みながら「じゃあラストはこうなるのかな?」と想像できる。
けど、それが次々と裏切られていく。
なんか話が解決しそう? と思って残りのページを確認して、「あれ。じゃあ、まだ何かあるのか……??」の繰り返し。
その“まだ何かあるのか?”も思わぬところから降ってくるので、予測不能すぎる。
分かりやすい非力な小学生と幽霊の復讐譚だと思って読んでいると、途中で確実に「これ、なんていう話だよ……」と頭を抱える。
このミスリード感、たまんない!
はじめは二人の共通の敵を殺して終わりかな? と思っていたんだけど、その敵との邂逅は総数ページの半分頃。
え、まだ話が半分残ってるけど?! と内心で慌てる私を尻目に、敵を倒して、じゃあ次はどうなるの? となると、実はまだ別のところに課題があった?! と、話はどんどん謎めいていく。
解決したと思ったのに、解決してない。課題が山積み。
その課題をクリアしたら、また謎が出てきて、まだ分からない部分があって……という具合で、気づけばどんどん物語の深みに落ちていく印象。
頭の中で思い描いていたラストがどんどん覆っていく驚き。
単純な復讐劇だとは思ってないけど、それにしたって話が二転三転していくので、「おいおい、犯人こいつじゃないのかよ。え、ちょっと待って?!」とどうにか話に食らいついていくしかないスピード感がたまらない。
いやー、幽霊の黒羽が音葉に料理を教えたりするから、てっきり「死んでも心の中には黒羽がいる」エンドみたいな物だと思ってたんだ。
信頼する相手を失い、それでも少女はたくましく懸命に生きていく的な。
全然違ったけど!
で、真相が分かった時には、もう作者の術中に見事はまってるんですよねぇ……!
いやぁー、面白かったなぁー。
章仕立てになっている話が実は一部分だけ過去の話だったり伏線だったりする話はミステリーの王道なんだけど、なんで実際にこのトリックが使われると全然気づかないんだろう……?(過去話に見せかけていた部分がまさか本筋より未来の話だったってトリックはよくあることだけど、これって黒羽が「七日後に消える幽霊」だからなんだよなぁー)
物語の途中で黒羽が言うように、「すべてを疑え」なんですよね。
すべてを(それこそ物語の根幹さえも)疑った読者だけが、最後のエピローグよりも先に真犯人にたどり着くことができる。
私はてんで駄目だったけど(音葉ちゃんのお父さんのダイニングメッセージだけなんとなく分かったけど、それ以外は黒羽の推理を聞きながら「すげぇ……」となってました)、読み終わった後に考えてみると、真犯人にたどり着くまでの伏線がしっかり分かるので、分かる人には分かるんだろうな。
音葉のお母さんの病気のこととか考えると、犯人は確かにあの人しかいないし。
で、音葉の両親の死に様を見ても、細工できるのはあの人だけだよな……ってなるのがいいよね……。(ミステリーって真相を聞いても「へぇ……、だから?」となることもあるんで。話を振り返ったときに、「なるほど。確かに」ってなるのがすごくいい)
読み終わった後の余韻を含め、面白かったです。
てっきり黒羽は消えると思っていたし、音葉は幽霊が見えるので、「もしかして逆さま(話の中盤で出てくる敵)も幽霊になって、最終的に黒羽と対消滅するとか……?」と思ってたんですが、そんな私の想像を遙かに超えるいい感じのハッピーエンドでした。
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