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12月読了読書感想小説

【ネタバレ有】死写会/五十嵐貴久【初読感想】

この記事は約12分で読めます。

twitterで「とにかく人がたくさん死ぬ作品」という触れ込みを見て、気になって手に取って見た一冊。
ちょうどその頃とんでもなく優しい本を読んでいたので、なんかめっちゃ心が血みどろを求めていたんだ……!ってことなのだと思います。

で、読んだんですが。

なんというか、出落ち感が半端ない作品だった……。

五十嵐先生といえば、リカシリーズの作者さんですよ。
リカシリーズも色々思うところはあるけど面白かったと思うし、今回も面白いだろうなぁー! と思って読んでたんですが。

なんだろ、この出落ち感は……?

セクハラ・モラハラありの昭和の映画監督が謎の不審死、そしてその映画の試写会に参加した人間が一斉に集団自殺する、物語としてはこの「一斉に集団自殺(ざっと45人)」のところがハイライトで、そこからは消化試合感が強い。

触れ込み通り人はいっぱい死ぬ。
でも人がいっぱい死ぬのが序盤だから、後のページはそこまで心が躍らない。

45人が一気に自殺した後はその試写会で生き残った4人がぽつぽつ死んでいくぐらいだし、「何故死ぬのか?」というのもすぐに「監督のモラハラやセクハラで業界を追われた(もしくは自殺した)人間達の恨み」だと断定されるし、話はそのまま「監督に恨みを持つ人間達の呪いが映画に宿った」という話で進んでいくので、一本調子。

この一本調子感が理由なのか、淡々と本が読める。

さすがに中盤あたりでこの一本調子が心配になってきて、「いやいや……、監督や周囲のモラハラ・セクハラを黙認していた人間達への呪いだとしても、中盤でほとんど想像できる展開がこのまま続くのか? 絶対に終盤で何か起こるだろ」と思って最後まで読んでみたけど、何も起こらず。

最後の最後まで「セクハラ・モラハラをし続けた監督と、それを黙認していた人間達の呪い」が続き、幕を閉じる。

いや、本当に何も起こらないんですよね……。
「もしかすると、セクハラ・モラハラに対する呪いと見せかけて、監督の映画に悪感情を抱いた人間達を殺して回っているのでは?」とか考えてたんですが、そんなこともなく。
何も起こらない。ただただ映画の内容を全部知った人間達が殺されていく作品。

理不尽系? ってことでいいのか?
でも作中では殺される人間がはっきりしてるので、一応呪いを振りまいてる側からすると「殺す動機は(かなり言いがかり感が強くても)ある」なんだよなぁ……。

ひとつ気になったのは、この本で諸悪の根源とされてる監督の名字なんですよね。
どう読むのか分からなくて監督の名字でググったんですが、どうやらあのジャニーズの性加害事件の関係者(加害者側)の名字と同じなんですよ。

この本の中でも性加害(セクハラ)の話は出てくるし、暗にジャニーズの事件をモチーフにして書いた話なのかな……?

だとするとこの本の一本調子のストーリーも「被害者は何があっても加害者を許さない。傍観者も許さない」っていう強いメッセージになってるだろうけど、私みたいにそもそも関係者の名前を知らない人間が読む可能性もあるんだし、このあたりのメッセージ性とエンタメとしての楽しさの帳尻あわせって難しいんだろうな……。

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