うわぁー……、しんど……。
いや、うん。
櫛木理宇といえば私の中では“めっちゃやべぇ女がやべぇ女として目覚めるまでの話「ふたり腐れ」”の作者さんなので、まあ、この手のしんどい話だろうなぁーとは覚悟してた。
ふたり腐れの時にも感想で「この作者さんってこういう重たい話を書くのが好きだよね」とかあったし、デフォルトでしんどい話を書く人なのだと思ってました。
で、今回の話。
重たい。
この一言に尽きるかと。
重たい。そして、しんどい。
子供を取り巻く環境。
大人に振り回される子供達。
子供に関する性犯罪。
ヤングケアラーやアダルトチルドレンなどなど。
とにかく“子供としてこの世界に存在して生きるのって、こんなにも大変なん?!”と呻き声が出るぐらいに、色んな子供のしんどい話が出てくる。
そのどれもが一瞬で解決出来る話ではなくて、子供達だけで解決できる事でもなくて。
巡りめぐって、「……大人の力を借りるしかないのでは?」ってなるんだけど、そんな状態になってる子供の側にいる親が、総じて酷い。
生きづらい子供や大人と、毒親と。
大人だって昔は子供だったんだよな……、という当たり前の事実が痛々しい。
大人だったら「いやいや、それおかしい。変だから!」って気づくんだけど、経験値が少なくて、そもそも頼れる大人も側にいない子供からすれば、その“変”って感覚が分からない。
大人は「なんで分からないの?!」ってなるけど、そりゃあ子供だもん。
子供=未熟な存在とは言いたくない(なんかその言葉は同時に子供を軽んじてもいいって感覚につながりそうだから)けど、でも子供は大人に守られる存在なんだよ。
でもその子供を守るべき大人が大人の役割を果たせていないから、結局子供の問題が出てくるんだよな……って、グルグルしながら読んでました。
話の展開はミステリーなんだけど、本一冊読んで感じたのは、これはいかに子供を守っていくのか、子供を守るために大人はどうしたらいいのかをずっと問いかけてくる作品だなってこと。
淡々と現状の難しさを突きつけてくるのが怖い。
正直ミステリー部分は取って付けたような印象があるので(伏線も貼ってはいるけど軽いし中途半端で唐突感があるから、読んでる側に謎を解いてもらおうというよりは、メインテーマのおまけ)、ミステリーとして読むと物足りない。
ただ、子供の生きづらさをメインに据えて読むと、しんどいながらにぐいぐい読ませてくる作品になってる。
私はこれをミステリーとしてはオススメできないかも。
子供と大人の関係、生きづらさとはどういうものなのかを感じる本として、オススメしたい。
というわけで、「七月の鋭利な破片/櫛木理宇」の感想でした。
ちなみに前に読んだ“ふたり腐れ”と比べると、圧倒的に読了感がいいのが救いの一つ。
私は“ふたり腐れ”の影響で、絶対に主人公が何かしらのやべぇ奴だと思ってたから……、そんなことがなくて良かった……。
それでは、次の一冊でまた!


コメント