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読書感想小説

【ネタバレ有】ぼぎわんが、来る/澤村伊智【初読感想】

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映画のほうを先に知っていて、そっちのネタバレを踏んでいたのをすごく後悔した。

これ、めっちゃ面白いやん?!

被害者の田原秀樹が死ぬのを事前に知らなければ良かったなぁー!! とか。
ぼぎわんが人に化けることができるのも知らなければ良かったなぁー!! とか。
話の「面白い部分」を事前に知っていたので、読み進めながら「あー……、この展開はこうなるのかな?」って想像できて、再読気分で読んでいたんですが……、後悔した。

これ、何も知らずに読みたかった!!

で、でもこの本が発売された時はまだ読書に目覚めてなかったし。
なんだったら映画のネタバレを踏んだのもフォロワーさん経由だから自発的ってわけじゃないし。
とりあえず内容を知っている小説を読もうと思った自分を褒めておきます(普段はネタバレを踏んだ本はあまり読まないので……、本当に特別というか例外的に読んではまったんですよねぇ。今回の本)

で、面白かった今作なんですが。
小説なので驚かし要素はまったくないんだけど、でもきっちり怖い。
自分がネタバレを踏んでいるが故にその怖さを半分ぐらい無効化してしまっているのが悔しいんだけど(ぼぎわんが人になりすますところとか)、それでもトイレに立てこもって密室だと思っていたら「トイレの便器って穴が開いてるよね?」っていう盲点を突かれたりするのが、怖い。

いやいや、ぼぎわんが部屋の開いている場所から入ってくるのは分かってたけど、それって窓とか玄関だと思うじゃん。なんでトイレの便器なんだよ、確かに穴が開いてるけど!!

ぼぎわんが来る時の演出で、今まで淡々と綴られていた文章が短文になっていくところとか、「あー!私、今ホラー読んでるんだ!!」ってワクワクする。

謎を解明していくくだりの文面と、ぼぎわんに喰われる時の文面の落差によって生じる、紙の上での空白とか、絶望感とか……、こういうの、小説でしか出来ないんだよなぁー!!

なんで先に映画のネタバレを踏んじゃったかなぁー!!

そしてこの話、ぼぎわんが怖すぎて忘れがちなんだけど、よくよく考えてみると「やっぱり人間が一番怖いんでは……?」に落ち着くのも怖い。
ぼぎわんは凶悪だけど、人間側が呼ばなければ来ない。
そして今回ぼぎわんを呼んだのは、長年酷い仕打ち(家庭内虐待されて子供を殺された)を受けてきた母親なんだけど、その母親が一番呪いたかっただろう自分の旦那は最後まで大往生して、呪いが何故か自分の孫にむくという皮肉。
しかも旦那のほうは自分が呪われてるのを自覚した上で奥さんを嘲笑ってるような台詞もあるんだよなぁー(自分が他人から呪われる程のことをした自覚があっても後悔や反省ではなく嘲笑が出てくるあたりが怖い)。

で、どんどん怖くなるのがその呪い方で。
あの呪い方、めっちゃ簡単じゃん??
しかも他のホラー小説でも時々目にするから、案外オーソドックスな呪い方……なのかな?
誰でも気軽に出来て、なおかつ強く相手を恨み続けたらぼぎわんが来るかもしれないって、このストレス社会においては、誰がぼぎわんの被害に遭ってもおかしくはないっていうのが怖すぎませんか……?

で、最後には呪いたい相手以外の別の誰か(下手をすると自分にとって大事な相手)を呪うかもしれないという、文字通りの“人を呪わば穴二つ”状態の完成も怖い。

ぼぎわん自体はオーソドックスなホラー要素(得体の知れない化け物)なんだけど、話を構成してる他の部分は「生きてる人間が一番怖い」なんだよなぁ。

というわけで、「ぼぎわんが、来る/澤村伊智」の感想でした。
どれだけ後悔しても映画のネタバレを踏んだ事実は変わらないので、ここは素直に諦めてネタバレを踏んでいないシリーズの続きはまっさらな気持ちで楽しもうと思います。

いやぁー、面白かった!

それでは、次の一冊でまた!

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