久し振りに読んだ、「あー!! これこれ! こういう伏線がいいんだよ!」なミステリー小説。
伏線が秀逸。
twitterで大いに騒ぎたいけど、ネタバレになるんで我慢しますよ。
伏線が第一部と第二部にこれでもかと散りばめられていて。
第三部で凄惨な殺人事件とともに、盛大に明かされていく展開が好き。
特に、第一部と第二部ではそれとなく描かれている別の事件が、第三部で起こる殺人事件の引き金になってるのがいい。
だって、第一部と第二部だけだったら、“昔に起こった殺人事件をなぞっている”って感じなんですよ。
事件が起こりそうで、全く起こらない雰囲気。
読んでいて、「あれ? このまま、殺人事件、起こらない??」って首を傾げるぐらい。
話の間に入るモノローグや、登場人物の手記なんかも、過去の事件をフォーカスしてるように見えるので、新しい事件が起こるような印象がない。
そんな中で、盛大に起こる第三部の殺人事件!
そりゃあ、作品の雰囲気が江戸川乱歩と横溝正史っぽいなら、事件は起こりますよね?!
起こらない方がおかしいよね! と言わんばかりに、待ち構える第三部の惨劇。
いやぁー……、一部と二部で、「あれ? 殺人事件、起こらない?」と思ったのが嘘のよう。
それまでひっそりと散りばめられていた殺人事件までの道筋が、一気にひらける。
この、「あ!! あれって、伏線だったの?!」がいい。
てっきり、昔の事件の描写だと思い込んでいたものが、現代の描写で。
なんだったら、読み返してみたら、「現代の事件の描写は最初からしてあるんですよねぇ」っていう作者さんのしたり顔が、見える見える。
それに気づけない私は読み終わった後に、「まじかよぉー」ってなる。
これがいいんですよね。
この、心地良い騙された感が好き。
久し振りに伏線たっぷりの面白いミステリー小説を読ませていただきました!
いわば読者の誤解を全力で解いていく第三部がメインディッシュなら、第一部と第二部は、メインディッシュを美味しく頂くための前菜みたいなものなんだけど。
第一部と第二部も、それはそれで江戸川乱歩や横溝正史の小ネタやパロディが入ってるんで、読んでて面白い。
かと思えば、作中で明かされる首のすげ替えトリックは本格的だし、本格ミステリー好きの人でも楽しめる一冊じゃないでしょうか。(もしかするとこのあたりのトリックは江戸川乱歩とか横溝正史あたりに元ネタがあるのかもしれないけど、私は知らないので申し訳ないです)
というわけで、「六つ首村/折原 一」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
読みやすいミステリー小説。刑事ものです!
オカルトミステリー。雰囲気的に通じるものがあるんじゃないかなと。
ロジックで語られる本格ミステリーです!

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