ホラーかなぁー。
ミステリーかなぁー。
ホラーだとすると怖さはそんなになかったから、ミステリーかな。
そういう話です。
地羊鬼の孤独みたいに完全にホラーとミステリーが共存してる話ではなくて、あくまでミステリーの中にホラーが間借りしてるような作風。
物語の中で発生する謎全部に答えが出ることはないんだけど(特にこの話の最大の謎である「アナヅラ様」に関してはまったく謎のまま)、その周辺を取り巻く人間関連の謎は解決していくので消化不良は少ない印象。
むしろ、アナヅラ様の謎が大きすぎるので、こいつ、どんな結論が出てもちっぽけに見えそう。
本当に底なしの穴なのか。
なんか怪異的なアレなのか。
それとも宇宙規模のなにかなのか。
アナヅラ様の正体は一向に分からず、でもそのアナヅラ様を利用する人間達の心の内(どんなに憎い相手を殺しても、他者に酷い事をしても、アナヅラ様の穴にさえ入れてしまえば、死体は上がらないという最大の魅力)がずるずると引きずり出されていくのが面白い。
なので、ミステリーかな。
人間って、案外殺したい相手はいっぱいいるのかもしれない。
でも、殺した後の手間とか、自分が刑務所に入れられるリスクを考えて、諦める人が多いのかも。
そんな人達にアナヅラ様を用意して、「はい。この穴に放り込んだものは二度と出てきません。あとはお好きにどうぞ」ってされたら、人間は人を殺してしまうのかもしれない。
人を殺したいけど、殺せない。
そんな人の前に完全犯罪できる小道具を用意しました!
さてさて、どうなるでしょう?
そういう話なんだわ。
初代アナヅラ様の性的欲求しかり。
二代目アナヅラ様の、正義からの虚無しかり。
三代目は……、ラストはあんな風になってたけど、彼女も自分の欲のために人を殺して、アナヅラ様に死体を放り込んでいくんだろか。
だとすると、この穴を封印できる人って、人を殺したいと一度も思ったことがない人なんだろうなぁーって思うんだけど、そんな人いるんだろうか。(そしてこれまでのアナヅラ様を見るに、結局あの穴を利用してしまった人間は、最後にはあの穴の中に落ちていく運命のような気もする)
アナヅラ様っていう存在が最大のホラーなんだけど、それ以外はホラー要素がないし。
なのでミステリー小説なんですよね。やっぱり。
個人的には、表紙の絵柄は女の人なのに、真っ先に登場したアナヅラ様は男性だったので「どういうこと?」となったのが面白かったです。
こういうのも叙述トリックっていうのかな。
謎解き部分で、「言われてみればその通りじゃん!」となったので(アナヅラ様のターゲットが女から男に変わった理由とか)、その点は面白かったかも。
というわけで、「アナヅラさま/四島祐之介」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
⇒ホラーとミステリーが融合した傑作といえば、この本を推したい!
⇒ホラーというよりはオカルト? オカルトミステリーです。作者さんがあの有栖川有栖なのも信頼度高めですね!
⇒完全ホラー。二転三転する物語が秀逸です!


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