本で楽しむ論理パズル?!
最初はタイトルがタイトルなので、殺伐とした殺し合い騙し合い系作品かと思ってたんだけど、蓋を開けてみると人は死なない(大怪我はする)し、平和だし、どっちかといえば論理パズルみたいな本だった。
なので平和。
途中で植木鉢が落ちてきたり、人が石段から転がってきたりするけど、平和。
登場人物の前世が分からず、主人公の前世も分からない。
もし自分が明智光秀だったら織田信長に恨まれていてもおかしくない?! からはじまる、自分の前世を探っていこうとする論理パズルなんですよね。
学校の教養テストで似たような問題をやったなぁー。
ノート片手に頑張ったら案外謎解きも出来そうなので、この本の楽しみ方は無限大かもしれない。
で。最終的には必死に論理パズルを解かせておいて、「実は自分達が学んでいる歴史自体が間違いなのでは?」っていう推理で、論理パズルが完成するのが面白い。
ある意味、問題文が間違っていました。
問題文が間違っているなら当然出される結論も違ってきて、導き出される答えも違う。
これが本当の教養テストならちゃぶ台をひっくり返すレベルだけど、そもそもこれは小説だから楽しめる。
でも、織田信長が本能寺で生き残ってたっていうのは、ロマンなんですよー!
伏線はいっぱいある。
話の合間に語られる戦国時代の回想を読んでいると、出てくる登場人物達が全員織田信長が大好きっぽいので、「これ、どうやって最後本能寺の変を書くんだろう……?」って思ってたんですよね。
まさか奥さんを亡くした信長が自由な人生を取り戻したくて、明智光秀と結託して本能寺の変を起こした(だから実は本能寺の変の後も生き長らえています)っていう結末とは。
こんなに戦国時代パートでみんな織田信長のことが大好きなのに、織田信長は明智光秀に殺されるんだよなぁーってしみじみ思ってるところに投下される、実は織田信長は死んでません説の破壊力よ。
でも、このどんでん返しもいい。
ただただ明智光秀が誰なのかを探すのではなくて、探し終わってからも謎があるのがいい。
だってこれは小説だからね。
教養テストじゃないから(やってることは論理パズルに似てるけど)、問題をぶん投げたって面白いならいいんだわ。
ただ正直、織田信長を殺した明智光秀がヤバイとなってるなら、自分の前世のヒントが貰える時点で「自分は明智光秀か?」って確認してもよかったし(あのパソコンのID取得の際に同窓会が終わるギリギリのところで明智光秀と入力しても良かったんでは?)。
いい感じの高級旅館のおもてなしで毒のある花を湯飲みに入れるようなうっかりミスをするかな? っていう気持ちはあるんだけど、そこらへんは話の仕様上ってことで突っ込んだら駄目かもしれない。
というわけで、「戦国転生同窓会/織守きょうや」の感想でした。
小説で楽しむ論理パズルって感じで楽しかったです。
それでは、次の一冊でまた!
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