【顔のない天才 文豪とアルケミスト ノベライズ/河端ジュン一】これ、マジでノベライズなのか……。

ゲームのノベライズだろって、甘く見てた……。

いやだって、ゲームのノベライズって「どうせゲームユーザーが買ってくれるんだからクオリティなんて気にする必要ないよ。どうせ売れるんだから、手を抜いたっていいよ」的なクオリティが多いじゃないですか。

でも、文アルのノベライズ、違う。

なに、このクオリティ。

まず文体。え、これノベライズですよね? ラノベですよね? え。すっごく描写がきれいなんですけど。きれいすぎて鳥肌が立ったんですけど……。

特に侵蝕されてる本の描写がきれいでした。

心理描写。え、これ本当にノベライズか? 文アルの世界観を借りてるけど、普通にひとつの小説だろ。え、マジか。ええええ……。

ゲームが文豪を扱ったゲームだから! っていうのもあるのかもしれないけど。ちょっと、真面目にすごい本です。

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一度自ら死を選んだ文豪は転生した後どうなるのか?

文豪の中には自ら死を選んだ者もいる。そんな彼らが再び生を受けた時に何を感じるのか? 何を思うのか? 

よくよく考えれば自分という存在を切り捨てたはずなのに転生してしまったわけだから、作中の芥川みたいに「以前の自分」というものが分からない人がいるのも当然で。

そのあたりが丁寧に書かれているのに、ぐっと来た。

ゲームだと「自殺したけど転生して生きている自分」というものに焦点は当たりにくいから、その分文章だとはっきり伝わってくるんですよね……。

自ら死を選んだ芥川自身もそうだけど、芥川自身が死を選んだことで後に残された者達(この話でいうと谷崎さんと久米君)の苦悩があったり。

そして死んでしまって終わりだったのに転生してしまったからこその苦悩もあったり。

一度「自殺」という方法で自分を手放してしまった芥川が、なんの違和感もなく今の自分の在り方を受け入れているのはおかしいわけだけど。そのあたりの「芥川龍之介としての知識はあるけど実感はない」的な描写がステキ……。

転生しても自分のアイデンティティは残っていて、だからこそ生前のように相手を思うしかなくて。それが苦しくて。

ゲームしてても伝わってくる部分ではあるけど(特に芥川と久米君の関係については)、こう、文章になると問答無用でぐぐっと来ますね……。

二次創作には原作への尊敬がなくてはいけません by堀

小説なのでゲームよりもはっきりと、いろんな描写があるわけですけど。

潜書がどうやって終わるのか? とか。どうやって侵蝕者を倒すのか? とか。いろいろある中で、一番一生に残ったのが、「侵蝕者とはなにか?」の点。

こう、二次創作をしている身としては「侵蝕者が作品を改変すること」についていろいろ考えさせられるところがありました。

なにより痛かったのが堀君の、

「二次創作には原作への尊敬がなくてはいけません」って言う台詞。

この言葉……。今の、愛がないとしか言いようがない一部の二次創作界隈に対する警鐘に聞こえてならないわけでして。

反対にいうと、この言葉を堀君に言わせることができるこのノベライズだからこそ、ゲームノベライズにありがちな薄っぺらさがないのかな。

ノベライズの第二弾も決定してるとのことで……。

正直、ゲームのノベライズでここまで原作関係なしに「面白い! 続き読みたい!!」と思った作品ってなかったかも。

ゲームの世界観も好きだけど、ゲームとは地続きなのに全く違うような世界観を持っているこのノベライズも好きだから、物凄く続きが楽しみです。

第二弾ではぜひ無頼派が出てきてほしい。この世界観で描かれる彼らを読んでみたい。

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