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小説

夏期限定トロピカルパフェ事件/米澤穂信|この不穏さが好きなんだわ……。【ネタバレ感想】

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というわけで、米澤穂信さんの夏季限定トロピカルパフェ事件を読み終わったわけですが。

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え……、ふたりとも別れちゃうの……?

いや、びっくりした。てっきりこのまま二人の物語が続くと思っていたので。
春期限定いちごタルト事件の時みたいな互いの本性を少し見せ合いながらじゃれ合って生きていくと思っていたので、ここに来て別れるのかぁー……、と。

いや実際はふたりは付き合ってないので(互恵関係ではあるけど)、別れるとかではないんだけど。

でも、ラストの展開で動揺。違う道を行くふたりにめっちゃ動揺。
このシリーズ、私の手元に秋の話があるからふたりの物語がまだ続くって分かるけど、夏が発売されてすぐに読んでたら、「えー!これでおわり?!」ってなってたかもしれん。

いやはや、やっぱり面白い。

いつも通りの読みやすさに、さくさくとページをめくれる快感……、好き。

そして今回は春の時にはあんまり感じなかった、小鳩くんと小佐内さんの屈折したというか、独りよがりな部分がちらほらと覗いていて、ますます私好み。

氷菓を読んでた時にはあんまり感じてなかったけど。
この小市民シリーズを読んでる時に感じる、登場人物達に対しての「お、ちょっとお前。それで大丈夫か? なんか私にはその方向性は間違ってるようにかんじるんだけど、大丈夫?」という不穏が、高校生らしい不安定さとか薄っぺらい万能感から来る危うさに見えて、時々読んでてしんどいような恥ずかしいような、でも楽しい気持ちにさせられる。

この感じ、なんだろうか。
漂う不穏さが好きなんだわ。

春の時は青春チックというか、そこまでほの暗い感じはなかったけど、今回はがっつりラストの答え合わせの薄暗さにぞくぞくしていました。
「あー。小佐内さんのことを勘違いしていたかも」と思いつつ、でも改めて考えてみると、「いや、ちょっとまて。小鳩くんも小鳩くんだよな?」ってなったり。

読んでる側にもまったく内側がみえない主人公なんだよなぁー、このふたり。(だからこそじわじわと感じる不穏さなのかもしれない。というか、小鳩君はともかくとして、小佐内さんはがっつりヤバイ人だしな……)

米澤先生の書く「一人称視点で描かれる語り手以外の感情を語り手が感じるときの描写の雰囲気」がすごく好きなので、今回はばっちり堪能できたので大満足。

いやぁー、面白かった。

今回でふたりの互恵関係は終了したけど、秋からはどうなるんだろう。
というかふたりが口にしていた”小市民”はもう別々に目指すことになるのか、今後の話も楽しみ。ごちそうさまでした。

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