というわけで、秋期限定栗きんとん事件を読み終わりました。
というわけで、最近ずっと読んでる小市民シリーズの秋を読み終わったー!!!
— ハルノラッカ (@huhahaha_zikaki) July 31, 2024
やっぱり面白いなぁー、米澤先生の本。ごちそうさまでした。 pic.twitter.com/pY7xpHPNuP
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いやぁー……、雨降って地固まるっていう話。
ただし、小市民を目指す小市民ではない小鳩君と小佐内さんの物語なので、ふつうに別れてよりを戻してハッピーエンドになるわけもなく。
雨降って地固まるっていう恋愛小説の定番展開を、上下巻にして放火事件という話にして、物騒な話になってるのが、らしいといえばらしい。
作中でも言ってたけど、「付き合ってくれ」と一言で終わる話が、このふたりにかかると複雑でややこしい話になっていくのがね……。
まあこのふたりの場合は、互いを必要としてるけれど恋愛ではないのが面白いところなので、すごい遠回りな雨降って地固まるを見たけど、でもふたりには必要な遠回りなんだよなぁ。きっと。
というわけで、上下巻ながらさくさく読めて面白かったです。
小鳩君と小佐内さんの恋愛とは呼べない信頼関係を入れつつ、それぞれの違う相手との恋愛を書いてるのが好き。特に小佐内さんと瓜野君の話がいい。
瓜野君ってなんというか、普通の男の子だよなぁー……、と読み終わってから思う。
この話に主に出てくる男子って小鳩君と健吾君なわけですが。
小鳩君は「小市民を目指す頭が切れる(そのおかげで厄介事を引き起こし反省してる)男の子」だし、健吾君は「そんな過去の小鳩君を「嫌いじゃない」と言う正義感の強い真っ直ぐな(真っ直ぐすぎる?)男の子」なので、瓜野君みたいな「好きな女の子にいいところを見せたい男の子」って新鮮。
でも高校生の時って、瓜野君みたいな「褒めてほしい」「格好いいところを見せたい」「自分は特別だ」って思いたい時期があったよなって思う。
特に好きな女の子の前じゃなおさら。
で、特別になりたい瓜野君と小市民(普通)になりたい小佐内さんって結構離れた立ち位置にいるよね。でも「自分が望む自分になりたい。そのために努力する(でもその努力の方向性がずれているのには気づかない)」ってところでは一緒っていうのが、「小市民になりたい」っていう小鳩君の願いともリンクしてて、なんか青春だなって感じる。
その瓜野君が最終的にはフルボッコにされるんで、小佐内さん怖いな……とも思うけど。
秋まで読んだけど、「小市民になりたい」って、ようするに「自分がなりたい自分を目指す」ってことで、小鳩君や小佐内さんが言うとすごく特別なことのように聞こえてたけど、誰しもが持ってる気持ちなんだろうな。
それが実現できるか、誰かによって阻まれるかはさておき。
場合によっては、その“なりたい自分”は誰かの手を借りてようやく理想的な形になることもある……っていう話なんだろう。
そんなわけで。
小鳩君と小佐内さんが春で小市民を目指し、夏で小市民を完遂するには一緒にいるのは良くないと気づき、今回の秋では「でも相手がいないとつまらなくない?」と気づいてまた一緒に歩き出すっていうのが、いい。
お互いにお互いがいなくてもそれなりに生きていけるけど、でもお互いのそばにいたほうが楽に生きていけるっていうのは、恋愛展開じゃないけどいいんだよ……。
こういう関係ってなんて呼べばいいんだろうね。
男女間だったら「恋愛」って呼べばよさそうだけど、小鳩君と小佐内さんに関しては「恋愛」って感じではないし。なんというか、自分と張り合える(自分が本気を出したときに唯一自分を出し抜けるだろう相手?)相手という意味での関係。適切かどうかは分からないけど、私の中で最初に思い浮かんだのは「信頼」かな。信頼関係ってやつ。
恋愛関係ではなく、信頼関係(それも不穏要素込みの)で互いを必要としてる小鳩君と小佐内さん……、いいなぁー……。
というわけで、秋も読み終わったので、残すところは冬ですね。
冬は手元にないので読み出すのに少し時間がかかりそうだけど、楽しみにしてます。
ごちそうさまでした!
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