というわけで、五十嵐貴久著・「リメンバー」の感想です。
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この作家さん、同じシリーズでも書き方や演出を変えてくるので、読んでておもしろいんですよね……。
というわけで、今回の5作品目は叙情トリックといいますか、「信用できない語り手」の話になっていて、最後の最後で「犯人、お前だったのかよ!」となるまでがセット。
でも読み進めていくと語り手の説明に違和感があったり、全体的な不穏さも出てきたりで、「なーんか読みにくいな、この小説。なんか語り手の言ってること矛盾してる気がするけど、これってなんかのミスなのかな……?」って思いながら(半分イライラしながら)読んでいたら、「実は犯人は主人公でした! しかも主人公は一作品目の主人公の娘さんです! 娘さんはリカに誘拐されていました!!」とネタばらしがあるんで、ある意味シリーズを通して作品を追いかけていた読者へのサプライズですよ、これ。
私は伏線大好きなので、こう、シリーズを通しての伏線が張られていると物凄くワクワクするんですが、今回の「リメンバーの語り手はリカの主人公の娘(融解されたときにリカの心が感染していた)」という設定は面白かった。
一作品目の主人公の本間さんはかなり嫌いなキャラなんですが(妻子がいるのに火遊び目的で出会い系を使ってる時点でアウト過ぎる)、それに巻き込まれた奥さんと娘さんの末路がこれというのは……、本間テメェー……ってやつですね……。
まさか本間さんも自分の落ち度のせいで妻や娘が酷い目に遭うとは思ってなかっただろうけど、でも妻子持ちで火遊びはアカンよ……。
という感じで、読み進めているリカシリーズなんですが。
なんかこう、リメンバーまで読んで漠然と「このシリーズって、わたしと相性が悪いのかもしれない」と思えてきてる。
まあ一作品目の本間さんの落ち度もあるけど、それ以外の話は楽しく読んでいたし、そこまで相性が悪いとは感じてなかったんだけど、今回の話は途中で読むのがしんどくなった。
なんでだろう? って考えると、なんかこう、体臭っていうすっごいデリケートな部分を結構気軽なホラー要素として扱ってるこのシリーズに対する不信感みたいなものかも。
ホラーにおいて臭いって、朽ちた廃屋の臭いとか。死臭とか、色々あるんですが。
このシリーズにおける体臭ってワキガの事を指しているようだし、体臭がする人間っていまのところ女性だけなので、なんというかこの「女性+体臭」っていうキーワードを組み合わせた物語への嫌悪感もあるのかもしれない。
(これ、もし男性のなかからもリカの体臭を放つ登場人物が出てきたら、リカの狂気は男女問わず感染していくものっていえるけど、いまのところ殺人まで犯すのは女性だけなので、”やべぇことをするのは女だ”っていう女性蔑視みたいなものを感じてるのかもしれない)
んー。これ、もしかするとそろそろ読むのをやめた方がいいのかな。でも読みたいしな、どうしよう。
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