というわけで、五十嵐貴久著・「リフレイン」の感想です。
前回の話で「このシリーズ、私と相性が悪いみたいだけど、読み進めて大丈夫かな……?」となってたんですが、とりあえず読んでみようと思って読了。
なんというか……、奇妙な味わいの話でした。
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感じたのは、「結花ってお姉さんみたいになりたかったんだな……」ということ。
なんかそれがもうこの話の根本にあって、リバースの作中に出てくるクラスメイトに女王様扱いされてるお姉ちゃんと、この作中の結花がすごく似ていて、どうすればお姉さんみたいになれるのか、どうすればお姉さんみたいにクラスの中心にいられるのか? っていうのをじっくり研究した結果、「そうだ。人を殺せばいいんだ」で人を殺していってる印象。
でもリバースの時のお姉さんの状況って、「小さくて閉鎖的な環境」だからできた事だと思うんですよね。あと色々とアドバンテージもあっただろうし。
小学生ぐらいの閉鎖的な関わり合いの中で絶対的な支配者がいたからみんな従ってたけど、年齢を重ねていけばそんな支配者のボロは出てくるし、「あ、あいつ。思ってたより全然怖くなかったわ。むしろ変な奴だったわ」ってなっていく。
結花のお姉さんもそういう類いの人間だったんだけど(自分が人よりかわいいことを自覚している傲慢な女の子)、お姉さんの幸運は「自分がお山の大将だと気づく前に死んだこと」で結花の不幸は「姉を取り巻く周囲の反応が小さい頃にのみ許されている歪んだものだと知る前に姉が死んだ事」なんだと思う。
ようは、小さい頃に打ち砕かれてようやく真っ当な人間になれる価値観を引きずって大人になってるんだよなぁー……、結花って……。
姉の支配欲がボロボロに壊されるのを(それこそリフレインに出てくる千尋みたいな人間によって現実を突きつけられる様を)みていれば、多少は姉への幻想も消えたかもしれないけど、姉が女王様のまま死んでしまったから、姉になりたい結花も女王様を目指すしかない。
でもまあ、母親と姉が生きていたとしても、リバースの時の状態が続いていくなら結花の心は歪んでいくだろうし、結局やべぇ家庭環境が生んだやべぇモンスターってことでいいんだろうか?
私はシリーズを通して謎が解かれていく話が大好物なので(というか伏線が多い話がそもそも大好き)、今回の話は結構面白かったです。
ごちそうさまでした。
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