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1月読了読書感想小説

【ネタバレ有】最恐の幽霊屋敷/大島清昭【初読感想】

この記事は約17分で読めます。

前回の「バラバラ屋敷の怪談」よりも怖いと聞いていたので読了。

怖いと言えば怖かったんだけど、一部の怪異を除くと「触らぬ神に祟りなし」という感じだったので、「おおー。怖い怖いなぁー」って軽い感じで読んでいました。
心底ゾクゾクするよりは、カジュアルに読めるホラー小説といった感じ。

個人的にこの本より先に読んでいた「彗星を追うヴァンパイア」でかなり心にダメージを負っていたので、この気軽に楽しめるホラー小説がありがたかったです。

で、ジェットコースター級事故物件ホラー長編というキャップフレーズの通り、とにかく住人が怪奇に見舞われて、とにかく人が死んで死んで死にまくるという話。

そして悪霊の大盤振る舞い! その数、8人!!

怪奇もので元凶っぽいものが大盤振る舞いされる本というと、私の中では「さかさ星」なんですけど、なんか似てます。
怪奇の手札で読んでる私を圧倒していく手腕、面白いなぁー。

ぶっちゃけ一人ずつでも一冊分の長編が書けそうなエピソードを持った悪霊が8人登場して、そのエピソードが語られて、その悪霊達が好き勝手に人を殺していくんだから、そりゃあ人間なんてイチコロですね。
霊能者だってすぐに死ぬわな……、と思っていたら、幽霊屋敷に入り込んだ霊能者のほうは大家が殺していたというミステリー付きなので、悪霊以外のゾクッとする要素も入ってたりする。(この点は終始ホラーだったさかさ星とは違うんですが)

そしてホラー小説なので怪異にゾクゾクするんだけど読み進めて行くと、「え。壺に悪霊を封印していくって、それって壺の中で蠱毒してない?」とか「え。呪物を集めまくっている上に家の神様追い出してるとかヤバくない?」とか、色んな考察ポイントが出てきて、それらを頭の中で組み合わせて真相を探っていくのも楽しい。

ただただ怖がらせるんじゃなくて、ところどころで脳みそが動くように仕向けられてる。
で、脳みそを動かした先に、別の恐怖がある。

この作家さん、ホラーとミステリーを組み合わせた本が多いんですが。
前回の「バラバラ屋敷の怪談」が不完全燃焼気味だったので、今回のホラーに完全に軸足を置いた上へのミステリー要素(屋敷に入った霊能者だけがなぜみんな死んでいるのか? 壺の中に封印された悪霊のその後など)が私にはちょうどよかった。

謎はあるけど、それがホラー部分の怖さを払拭せずにますます怖くさせていく感じがよかった。

で、ラスト。

あー……、これは…………、どうなったんだろ……??

ホラーのラストで時々見かける、「別にハッピーエンドじゃなくてもよくない? だってホラー小説なんだし」っていう空気感を存分に味わえる、すべてをぶん投げたラストでした

他のジャンルでこのラスト(解決したことがなにもなく、最悪の事態を見せつけられて話が終わる)だったら本をぶん投げてるんだけど、ホラーだからできるこのラスト……、この後って一体どうなったんでしょうかね……?

……まあ、ハンピーエンドには絶対にならんわなぁー……。
多分最初からハッピーエンドなんて存在しないと思うけど……。

壺の中で蠱毒された悪霊8人はひとりの女性の身体の中に存在しているし。(で、その悪霊達の恐ろしさはそれこそ一冊分を使って語られているので、おいそれをどうにかできるものじゃない)
幽霊屋敷の中で霊能者を殺し続けて作り上げたもう一体の蠱毒は、主人公たちの目の前にいるし。(そいつのやばさはラストで証明済み)

とりあえずこの蠱毒たちが幽霊屋敷の外に出て行かないのなら、好奇心に駆られた人間だけが屋敷に引き寄せられて死んでいくからいいんだろうけど、でも聞いたら死にたくなる歌がラストで歌われてるし、なんかもう主人公達は確実に死亡フラグが立ってるんだよなぁ……。

主人公が死ぬ未来は描かれていないけど、ここから先主人公達が生き残れる可能性もなさすぎるんだよな……。
主人公達が無事に生き延びたとしても、この“最恐の幽霊屋敷”は現存しつづけるし、こいつをどうにかできる存在があの世界に存在しているかは謎だし。

んー、この救いの感じ! ホラー小説ですね!

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