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1月読了読書感想小説

【ネタバレ有】DTOPIA/安堂ホセ【初読感想】

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なんとなく目にする機会が多かったので、手に取って見た一冊。

小説というよりは、作者さんの主義主張を読んでいるような感じだった。

それがいいか悪いかは、読む側の好みだと思う。
私はこういう作者さんの主義主張が並んでいて、物語をしていない感じの本はあんまり好きじゃない。

こういう感覚に近い本といえば、私の中では「生殖記」なんだけど。
あっちは“とある男の身体に宿る生殖本能が喋ってる”っていう設定が最初に開示されて、最初から最初まで「性とはなにか?」が描かれてるので迷わなかったんだけど、こっちは迷う。
物語でないなら、なんだろ。
……やっぱ主義主張なんだよなぁー。
手に持っているのはハードカバーなのに、新書を読んでいる気持ちになってた。

人種に対するレッテル貼りからはじまり、白人による白人のための懺悔ショーと続き、マイノリティや文化の盗用の話などなど……、twitterをしていると最近一度は見聞きしたような言葉がずらりと陳列されていて、かといってどれかを徹底的に掘り下げるでもなく、撫でて触れてるうちに次の話題にいってるような感じ。

話のテーマ? というか、テーマになりそうなポイントがあっちこっちに点在していて、かといってどれか一つにスポットが当たっている感じもしなくて、「え? 作者さん、何か書きたいの? え、終わり??」と戸惑うままに話が終わる。

……んー。結局、人は自分以外の人間を理解しようとする時は、自分以外の何かが(誰かが)編集して加工した情報を見るしかなくて、そこから導き出される結論はどこまで「本人が抱えているもの」に肉薄できるか、って話……なのかな?

いや、これもなんか私が勝手に想像してるような気がするけど。

思うのは、デートピアで編集されたMr.東京の「お前」の過去を正確に知っている人間は視聴者のなかにはほとんどいなくて、でも彼らは自分達が確認できる情報を元に「お前」の姿や過去を編集して、「ああ、なるほど。こいつはこういう奴だ」と納得する。でもその納得した要素の中にはモモが知っている「同級生の睾丸を摘出した奴」という情報は入っていなくて、でも入っていなくてもMr.東京のイメージは編集されたデートピアの中で確立されていく。
だとしたら結局、自分が持っている「ちゃんとした情報」と思っているのも、実は編集されて加工された情報ではないか? と考えるのが自然じゃないか……? という話だったのかな。

正直私にはこの話の面白さは分からなかったなぁー。
そもそも、この話は「面白い」って土俵に乗る作品なのかな? とも思う。

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