一ヶ月後に、地球に隕石が落ちて人類が滅亡するとしたら、どうしますか?
という、ある日いきなり「あと一ヶ月で人類おわりますよー!」っていうところから始まる。
滅亡なんだけど、何故か変に希望があったり、温かみがあったり、終わりが前提にあるからこその明るさを感じる一冊。
たぶん、このまま人生が続いていくとしたら、こんな風に生きられなかっただろう人達が、人生の強制終了を目前に、「あー、まだ死にたくないなぁ」と思う話なんだよね。
このあたりのね、「まだ死にたくないなぁー」が秀逸というか。
前向きってわけじゃない。
後ろ向きってわけじゃない。
どの方向を向いたって、どうせ一ヶ月後にはみんな死ぬんだぜ! という絶望的な環境で、ぐらぐらする自分の立ち位置の中で、どうにか自分を支えられるものに縋り付いていくような感じ。
綺麗な言い方をすると、「人間は支え合って生きてるんだよ」ってなるし。
悪い言い方をすると、「人間って誰かに依存しながらじゃないと、絶望の中を生きられない」って話だと思う。
そして、読みながらすごく思ったんだけど。
この作者さんの、文章が、めっちゃ好き。
各登場人物の感情表現もすごくて、(偽善だけじゃない、独善や失望や色んな感情がない交ぜになってドロドロになっていて、その中で泥だらけになっても光り輝く何かを見つけて、とにかくそれを大事にするような)、一ヶ月後に人類が滅ぶっていう状況と、登場人物達の行動にどんどんのめり込んでいくんだよね。
状況も分かる。
登場人物達の感情も分かる。
この絶妙な、言葉のチョイスがめっちゃ好き……。綺麗で分かりやすいけど、シンプルで、だけど暖かいのが好き。
そんな言葉達の中で描かれる、人類滅亡の話なんですけど。
語り手になった登場人物達だけを見ると、限りなく絶望の中でのハッピーエンドなんだよね。
人生の制限時間があるからこそ、一緒に最後までいられたり。
自分に息子がいることに気づかされたり。
人類滅亡っていう「このまま動かなくても、どうせ人生終わっちゃいますけどねー!」ってカウントダウンの中で、動いて、それで絶望の中で幸せをもぎ取った人達の物語なんだわ。
それでもひっそりと、「あー、多分この人達、幸せじゃないかもなぁー」って人達の輪郭もある。幸せが反転してるとも思う。人を殺して、本来なら罰せられなくちゃいけない人達が、世界が終わるっていう状況下で幸せになっていく話だから、ごくごく当たり前の平和な世界で一般的に暮らしてた人達の多くは、登場人物達みたいに幸せになれたか分からないし。
人類滅亡系の小説っていうと、人類滅亡小説みたいな時間をかけてゆっくりと人類が滅んでいくのを読んできたので、今回みたいなタイムリミット一ヶ月な作品は新鮮だった。面白かったです。
というわけで、「滅びの前のシャングリラ/凪良ゆう」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
オススメ! 人類滅亡系小説です!
こっちは100年後に人類が滅ぶかもしれない小説です。
ネタバレになるから言えないけど、ここまでの本が気に入って貰えたなら、オススメしたいミステリー小説です。


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