この作家さんの前の作品である「近畿地方のある場所について」が面白かったので、同じ作者さんと言うこともあり、読んでみた一冊。
正直……、あんまり面白くない、ような……??
心に刺さらなかった。
前回の「近畿地方のある場所について」は面白かったんだけど。
今回の本は前回を踏襲しようとしつつ、前回よりもうまく伏線が張られていなくて、小出しにされる話がまとまらないと思ったまま最後まで読むと、「……最後まで話がまとまらない、だと…?」とそっちに驚いたわけでして。
さらっと読み始めて、さらっと終わってしまう。
いやまあ、前回の本が伏線回収がよかったので、きっと今回の本も伏線回収が面白いと思い込んでいた私が悪いんだろうけど。
でもなぁー……、この本の構成(台詞オンリーの会話パートと、ネットや知り合いから集めた怪談と、メインキャラ3人のモノローグ)がいまいちワクワク感がないんですよね……。
文章が小説の体裁をなしていないっていうのもある。
ただ、その点はそもそも背筋さんの本が前回を含めて、地の文+台詞っていうオーソドックスな小説の体裁をしてないんで気にしてないんですけど。
でも文章を読んでいても心引かれないから、だったら伏線やそれ以外の要素でワクワク感が欲しかったんだけど今回はそっちも不十分で、結果的に「なんか伏線はばらけたままで分からないし、文章はまあ思った通りだし……、んー??」と首を傾げる事になる。
読書をするのに達成感が必要だとは思わないけど、この本に関しては読み終わったあとに残るものがないので達成感がほんの少しでもほしかったかも。
やっぱり伏線が回収されていない感じがするのが大きいんだよなぁー。
結局、風船男は何者だったのか?
カナエさんは何者だったのか?
結構はっきりと「これ伏線です!」って空気感を出して名前が出てきたんだけど、謎は解けてない。
カナエさんのほうはまあ、よくあるこっくりさんの類似版ってことでいいとしても(カナエさん経由の謎といえば、カナエさんに3年(30年?)以内に死ぬと言われた人の末路も分からないんだけど、私が読み飛ばしたのかな??)、風船男はかなり重要そうな立ち位置を匂わせていたのに、結局正体不明で終わってる。
風船男、頭が大きいってことで、安直に考えると「胎児」とかそこら辺の象徴なのかなって思うんだけど。
そこから話を膨らませていくと、この話は「恨みを持った魂が死んだ結果恨まれた人間の子供として生まれ変わり、恨まれた人間が死ぬという輪廻をずっと繰り返している。主人公もその輪廻の中にいて“業”を背負っている。だから主人公は誰も恨んではいけない。恨んだら輪廻が巡ってしまうから」って事なのかな……?
なーんか、消化不良。
というわけで、「穢れた聖地巡礼について/背筋」の感想でした。
ホラー小説って最悪終わりがゾッとすれば問題なしみたいな部分もあると思うんですけど、今回に関してはそれも薄めだったので……、何をどう楽しんだらよかったんだろう。(ネットで考察を探して自分なりに結論を出すっていうのが正解のような気もするんですが、それって本の中で完結しないのであんまり好きじゃないんですよね……)
率直に思ったのは「近畿地方のある場所について」は結構念入りに伏線を張って回収してて、時間をかけて作った印象があったんだけど、こっちは時間がなかったのかな……?ってこと。
次回に期待! かな。
それでは、次の一冊でまた!


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