レトロなアンティーク調漂う、探偵小説!
舞台は戦前の満州。
そこで主人公の探偵が、表向きは「権力者の孫娘の婚約者が死んだ一件」を調査していき、満州の裏で蔓延る暗闇を暴いていくという話。
歴史上の人物が登場したり。
読んでいくうちに、「これは現実に起こった歴史上の事件なんだろうか? それとも、作者さんが創作した事件なんだろうか?」となっていく。
現実と創作の境目が曖昧で、気づかないうちに創作の深い部分に引きずり込まれてる感覚……、いいですよねぇ……。
この作者さんの真骨頂なわけですよ。
しかもなにより素敵なのが、歴史を知らなくても十分に楽しめる点!
歴史を扱ったイフ小説で、この点は結構重要だと思いませんか?
ようするに「この本を読むのに、知識が必要かどうか」なんですが。
知識が必要だと、小説として否応なく読むハードルが高くなる。
でもこの本に関しては、「昭和史や満州のことをほとんど知らない私が読んでも、普通にハードボイルド探偵小説として楽しめる」と太鼓判を押せる仕様になってます。
というか、私、この本の舞台になってる昭和史を全くしらんのですよね……。
なので、正真正銘、この本をハードボイルドな格好いい探偵が活躍する小説として読んでたんですが、面白い。
逆に昭和史を知ってる人が読むとどういう印象になるのか、めっちゃ気になりますよ……。はい。
そして、私が思うこの本のオススメポイントなんですが。
とにかく、文体がいい。
これに尽きます。
戦前の昭和感を出すためなのか、横文字になりそうな名称(たとえばビーカーとか、マッチとか、ライターとか)は、すべて漢字表記された上で、横文字が添えられてるんですよ。
それがめっちゃ、このハードボイルドな探偵とレトロな時代感に合ってる!
まあ、漢字に置き換わってるので、文章はめっちゃ厳つい雰囲気になってるんですが。
実際に読んでみると、案外読みやすい。
雰囲気を味わいつつ、生前の探偵小説を楽しめるのがいい。
この作者さんの本、前回は「路地裏の二・二六」を読んだんですが。
あっちは序盤はとっつきにくくて、中盤から加速度的に面白くなる本だったんだけど。
この本は序盤から丁寧な導入があって、終わりまで安定して面白いのがポイントですね。
ひとまず。
昭和史をテーマにしつつも、昭和史を知らない人間でも十分に楽しめるようにアレンジされてるのが、すっごくいいです!
というわけで、「幻月と探偵/伊吹亜門」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
ちょっと変わった角度から「名探偵」を描いた小説です!
満州やその時代の歴史に興味がわいたら、この一冊はいかがでしょうか。
歴史上有名な江戸川乱歩と杉原千畝がもし友人同士だったら? と描いた歴史イフ小説になります!
幻月と探偵に登場する浪越さんが主人公の一冊。
序盤は少しとっつきにくい印象ですが、中盤から加速度的に面白くなる歴史イフ小説です!


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