この話は、差別とか、偏見とか、そういう話で。
人間は簡単に自分と違うものを差別するし、集団になったらあっさりと殺すことができるし。
残酷で残虐な生き物なんですよっていう話で。
まあ、そういう話なんですけど。
それがホラー小説と結びついた話。
私は読んでいて、なんというか。
人間が持つ偏見みたいなものを、「これって偏見ですよね?」「貴方は差別してますよね?」「貴方はそれを自覚していませんよね?」と言われることへの不快感みたいなものを感じたのだけれど。
そういう不快感を感じること自体を、「ほら。それが差別なんですよ」と言ってくる空気感を持っている本。
んー。
この話に出てくる人たちが、一部、露悪的なんですよね。
悪意が全面に出ているというか。
私はこの物語のようなことが現実で起こったときに、この物語のように人が残酷になるのかというと、そんなことはないと思うし。
でも、実際問題、そういうことが過去には起こっていて。
過去における「お前達の民族はそういう残酷なことができる民族なんだぞ」っていう告発(とまではいかなくても。忠告めいたもの)が、この物語のなかには描かれていて。
それに対する、反感めいた感情の所在にちょっと困る。
(過去の出来事を考えるに、ここまで残酷になる可能性はある。けど、この本を読んでいる私がそのことに対して、恥ずかしいみたいな感覚を抱くことは正常なんだろうか? みたいな。反感を覚えつつも、私はこういう事態に陥ってもこの物語のような人たちにはならないと思いたい)
ひとまず思うんですが。
この本、ホラー小説の皮を被った別の何かだと思うんですよね。
この本を書いている澤村先生がこの手の差別的なものを気にかけている作家さんなので、こういうテイストになったのかなって。
というわけで、「ざんどぅまの影/澤村伊智」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
⇒おすすめホラー小説です。
⇒同じ作者さんのホラー小説なら、こっちのほうが好き。
⇒このホラー小説もいいと思います。