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雷龍楼の殺人/新名智(ネタバレ有)|どんでん返しを含めて末路が美しい……!【感想】

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どうも。
というわけで、今回は雷龍楼の殺人(新名智)の感想です。

いやぁー、面白かった!

ミステリーってあまり読まないので、読むときの作法とかまったく分からなかったんですが。
読み終わった後に「お、面白かった……!!」となるのは、マジで面白いんですよ。

最後の最後まで犯人分からないし。(というか、犯人を見つけるべき事件も途中まで分からなかったし、なんだったら各パートの時系列も分からなかったし)
展開もまったく分からないし。
読み進めていけばいくほど、「え。これどうなるの、人がどんどん死んでいくけど……?」となっていて、そしてラストのどんでん返しで文字通り、「ええええええええ!?」となるところまで素敵。

いや、めっちゃ面白い。

なによりこの話、私が苦手思っていた“時系列を変える構図”が使われているし、なんだったら“実は事件は起こっていなかった”までやってるのに、最後まで読み切っても全然腹が立たなかったんですよね……。

“時系列を変える構図”が苦手だと思ってる理由の一つは、「出版禁止」が理由なんですけど。
雷龍楼で特に気にならなかったってことは、そんなに苦手じゃなかったのかな……。

展開含めて、「あぁ、そうなるのか」ってなるし。
そうなった理由込みで結末を考えると、すごくしっくり来るラストだったので、大満足。

……いやあの終わり方、霞が穂継君を殺すエンドってどの時点で想像できるよ???(私は霞の特殊能力の説明があってようやく「あ……、あの霞が刺した人、穂継君では?!」って思いましたが、それまでまったく気づかなかった……)

でも伏線というか、そうなる末路は見えてたんですよね……。
「人を侮ってはいけない」「人を見下してはいけない」ってこの話の根底にあることだと思うけど、穂継君が霞にやったことって、“自分のことを大事に思ってくれている人の気持ちを利用して、都合良く使う行為”なわけで。
でも霞ちゃんが自分の事をどれだけ好きかは理解できてなくて、結果的に自分への恋慕の強さが原因で殺されるって、人の思いを都合良く利用した人間の末路としてはちょうどいいと思う。

穂継君も好きだった人の死の原因が知りたくて無茶をするわけだから、その時点で霞ちゃんの気持ちを考慮することもできたはずなんですよね……。でもあえてせずに「利用する」道を選んだのが、結局、霞ちゃんを見くびっていた末路に繋がるのが、自業自得感があって好き。

人は他人のどこを見ているのか。
優しいにぃになんていないし。
東京に疲れて地元に帰った女の人もいないし。
利用できると思っていた女の子の激情を見抜けないし。
人が見る「他人」は一部分でしかなくて、侮っても見下してもいけない(痛いしっぺ返しを食らう可能性だってある)という話。

というわけで、面白かったです。
ごちそう様でした。
では、また。

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