変化球型ミステリーっていうのか。
この本を「本格ミステリー」と表現すると、石を投げられそうな気がするんですが。
変化球も曲がりまくればストレートにならない? みたいな強引な論理を披露したくなる、なかなか最近じゃお目にかかれないミステリー小説。
というか、蘊蓄がちゃんとミステリーに関わってるじゃん……!!
これが私の中で、かなりポイントが高い。
クイズの蘊蓄については、私は全くの素人なので。
よって、この話に書かれている犯人を見つけるまでの道筋で披露されるクイズの蘊蓄もほとんど分からないんですが。
でも、読んでいくと「あぁ、なるほど?」となる蘊蓄になってるのがいい。
話の中盤までクイズや謎解きばかりやってて、「あれ? この小説、本当に殺人事件が起こるの?」ってなるのもいい。
ふつうにアイドルのオーディション小説で、脱落=退場(ただし死ぬわけではない)になってて、最後まで死人が出ないんでは? と一瞬疑ってたので、無事に登場人物が死んだ時は、「死んだ!」ってなってましたね。はい。
で、話を戻すと、蘊蓄がいい。
いやぁーだって、最近のミステリー小説で蘊蓄が多い作品って。
その蘊蓄を作者が語りたいだけで、直接的にストーリーには関係ないよね? っていうのが印象に強くて、「蘊蓄を語りたいのか、ミステリーを書きたいのかどっちなんだよ!」って思うことが多かったんですが。
その点でいうと、今回の話って、ちゃんとクイズが謎解きの鍵になってるんで、すっごくいい。
そうそう、私、こういうミステリーが読みたかったんだよ。
蘊蓄が悪いわけじゃなくて、ちゃんとミステリーに関わっていて、読んでいて腑に落ちるミステリーが読みたかったんだわ!
蘊蓄って読者が知らない事もあるから、それを前提に書く必要があると思うんだけど。
その時に読者を置いてけぼりにする蘊蓄は、あんまり好きじゃないんですよ。
というわけで、それだけでもかなりこの「クイーンと殺人とアリス」は私的ポイントが高い。
そして次に、文体がいい。
いや、この文体については、人によって意見が分かれそう。
嫌いな人もいると思うけど、私は好きなんだ。はい。
というか、この作者さんの本を読むのはこれで二回目なんだけど、一回目は確実にこの文体ではなかったような気がするんだよなぁー。
この地の文と台詞が入り組んだような文体がわりと好みなんですが、最近じゃあまりお目にかかれない。
でも今回はばっちりそういう文体だったので、ワクワクしながら読んでました。
会話とか、地の文とか……いいよね……。
この文体、読みにくいといえば読みにくいんだけど。
一方でこう、流れるような会話劇というか、雰囲気が伝わってくるから凄く好きなんだよ。
うん。なので、この本は結構私好みです。
というわけで、「クイーンと殺人とアリス/金子玲介」の感想でした。
それでは、次の一冊でまた!
花邑がオススメする、次の一冊!
花邑がオススメする「素敵な文体のミステリー小説」です!
素敵な文体の小説第二弾!
そこまで怖くはないんですが、ホラー小説なのでご注意ください。
花邑がオススメしたいミステリー小説です!
マジで面白いので、是非読んでほしい……!

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