「え? 小栗旬が太宰君するの? しかも安吾は藤原さん?! い、いや見に行くよ!! 見に行くしかないじゃん!!」という理由で見に行って来ました。
文豪系は……、文豪とアルケミストが大好きってあたりで察してくれると嬉しい。
で、見に行ったんですが、とにかく映像がきれいでした。
各映像の色合い、赤なら赤、青なら青、白なら白、がひとつひとつ個別に主張していて、光も暗がりも全部それぞれ意味があるような、そんな意味深できれいな映像のオンパレード!
予告編でも登場してる、太宰が花の中で倒れ込んでいるシーンに至るまでの展開がぐっと来て、最後には真っ白な花の中に埋もれるように死にかけていくシーンは、言葉にできないぐらいきれいな世界でした。
ひとつひとつの代表的なシーンが(太宰と女の人が絡んでいるようなシーン)、どれを切り取っても一枚のポストカードに仕上げられそうな、色合いのコントラストが素敵な映画なんですよね。
というわけで、見終わった後で感想を書いてると、映像の美しさが最初に出てくる作品なんですが……、ストーリーはいうと、女を翻弄してるように見える太宰がやっぱり女に翻弄されていて、最後には死んでしまう。という話。
最初に出てきた静子さんは太宰に捨てられたという分かりやすい設定だけど、自分の事を悲観していないし、しっかり太宰の子を産んでるし、終盤では「あの本(斜陽)の表紙に私の名前も入れてほしい」と手紙を送ってくるし、なかなかに力強い女性だから、最後まで見ると「捨てられた」っていう考えはおかしいって思うし。
奥さんは色々太宰さんに振り回されていたけど、最後に太宰さんから「貴方を誰よりも愛していた」という手紙を貰って、子ども達と一緒に日常に帰っていくし。
一番振り回されていたように見える富栄さんに至っては、最後の最後で太宰さんをすべての人間から奪うことに成功してるし……。
太宰さんがかなり人として駄目な人なのは言うまでもないけど、その太宰さんに翻弄されつつ翻弄しつつ、全員がそれぞれ望んでいた物を手に入れてるように見えるわけでして。
太宰さん自身というよりも、3人の女の生き様を見ているような感じ。
史実の太宰さんを知っていればもっと語ることもいいたいことも増えたのかもしれないけど、ゲームで少し太宰治という人物をかじっただけの身からすると、ストーリー<映像美。でした。
太宰さんに詳しい人が見れば、もっと何か感じるところがあるのかも?
個人的には安吾目当てでいったので、「安吾出てこないなぁ。もっと出てきてほしいなぁ」と思いつつ少ししか出て来なくてがっかりしたんですけど。
タイトルが「太宰治と3人の女たち」なのだし、安吾はあのぐらいでよかったのかな。