どうも。
というわけで、五十嵐貴久著・「リセット」の感想です。
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リバースで母親と姉を殺した結花が色々あって升元家に引き取られて、 そこでも色々ある話。
前作のリフレインは「お姉さんになりたい結花があれこれ暗躍して、最終的に大量殺人をする話」なんだけど。
今回はいままでのリカシリーズの王道といいますか、「自分の恋の邪魔になりそうな人は殺します」「年上男性に惚れて迫るけど相手にされなかったので殺します。(ついでに自分が殺したと勘づきそうな連中は皆殺しにします)」の結花と、結花に恋心を抱いた結果迷走をして命を落とす哀れな主人公と、実は結花が来る前から計画殺人を練っていたやべぇ女その二の主人公の母親と義兄の思惑が入り乱れてるのが面白い……。
この展開、想像してなかった。
てっきりリカ(結花)が一強のやべぇ話だと思っていたから、新たなやべぇ奴らの登場(ただしさくっと退場する)に、ドキドキしましたね!
こっちはシリーズを通してずっと「リカはやべぇ女」と思ってるから、作中で起こる事件のほとんどは結花がやったと思い込んでるわけで、その目線で「結花が養父に色目を使わないの……どうしてだ?」「え、義兄のほうがいいの?!」と困惑したりするんだけど(高木先生の死が予定調和すぎたので)。
蓋を開けてみれば、養父の死は母親と義兄の計画殺人だし、最後の最後でしっかり結花は養父の仇をとってるしで、結果的に「あ。まあ、リカだもんな」と納得する幕引き。
そして母親と義兄の計画は結花を養女にする前からはじまってるから、「うわぁー。こうくるかぁー!!」ってなった。よかった。
結花と主人公の行動に目が行きがちだけど、母親と義兄の関係を念頭に入れて読み直してみると、確かに二人きりで行動してるシーンが多いんだよな……、このふたり。まさかそれが伏線だと思わなかったので、謎が解けたときの衝撃がいい。
この展開ってよくよく考えて見ると、「リカひとりが悪いように見えてる? でも他にも悪い奴いるよね? そいつらの行動がリカによって隠れてるけど、悪い奴は悪いよね?」みたいな問いかけになってるように見えてくるんだよな……。
で、それとはまったく関係ない方面で自己完結してる結花もいい。
思惑が錯綜して訳のわからないことになってても、やりたいこと(そして読者の目からみてこれはするだろうと確信を持てること)をしっかりやってる結花の安定感がすごい
そしてリハーサルの時以上に落ち度らしい落ち度がなく、なおかつ「なにか情報握ってるかもしれないし始末しとくか」ぐらいの手軽さで殺される主人公の気の毒さよ……。(でもそこもリカシリーズらしいといえばらしいんだよなぁー)
まあこの「手軽に人を殺せる」っていうところが、リフレインの大量殺人に繋がっていくんだろうなと思うと、結花が着実にやべぇ化け物になっていく布石が積み上がってるのがいい。
本にでたらめに線を引くみたいな“頭のいい姉を演じている”のに、最終的にはリカやリターンの時のような知能犯に育っていく未来とかすごいんだよな。
そう考えると結花って環境がもっとマシだったら(ヒステリックな母親がおらず、自分中心の姉がおらず、父親が結花に興味を抱いてくれてたら)、ふつうの感性を持った人間に擬態して生活できてたんだろうな……と思うんだけど、まあ、このシリーズではそうならなかったので考えるだけ意味がないんだろうなぁー。
私はてっきり主人公の母親と養父は車で事故死すると思ってたので、こういう展開になるとは思ってなかった。
リカ以外の悪意があるのが意外で盲点といえば盲点だし、この作者さん、シリーズ構成がうまいなぁー!ってびっくりする。(でもそんな悪意でもリカには遠く及ばないっていうのが、このシリーズの怖いところなんだけど)
というわけで、ごちそう様でした。
あと二冊なんですよね……。楽しみにしています。
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