どうも。
ホラーの定義ってなんだろうか?
怖いことか、非現実めいてることか。
でも真相が幽霊でも生身の人間でも、ホラーはホラーなんだよね……。じゃあ、ホラーの定義ってなんだろか。
私の中では幽霊が出てくれば確実にホラーなんだけど、じゃあ、ホラーとオカルトの違いってなんだろう??
ということを考える一冊でした。
ホラーというか、なんというか。
ホラーというよりはオカルト。SFって言われるほうがしっくり来るかもしれない。
どういうラストになるのかまったく想像できなくて、「で、でも最後はハッピーエンドだよね?!」と信じて読み進めていった結末がすごくて、言葉が出なくなった。
い、いやぁー……、うん。
ある程度想像はできたんだけど、うん。
まさかホラー小説で寝取られ展開が発生するとは、思わないじゃん?
ほら、主人公が死ぬとか。
最愛の人が死ぬとか。
とんでもない呪いが出てくるとか。
ホラーの定番展開を想像していたら、最後にお出しされたのが「自分が求める世界を引き寄せるために、愛する(愛していた?)人さえ殺してしまう男の狂気の笑顔」なの……、最高に怖気がよだつ展開なんだわ。
ただしその手前までの生存競争の話はオカルトやSFだと思うので、ホラーなん? とは思う。
ホラー小説で寝取られ展開を見るとは、思わなかった。
でもまあ、私自身はハッピーエンドに固執するつもりはないし。
(最近ずっとバッドエンド的な展開のはなしばかりを読んできたので(スイート・マイホームとか鬼の哭く里とか)、ちょっとホラー小説におけるバッドエンド傾向に「たまにはハッピーエンドが読みたい……。と思っている節はあるけど)
今回の話の真の黒幕といっても差し支えない北斗の目的が明瞭で、執着している女を手に入れるためなら世界を滅ぼす(現実改変)ぐらいやってのけるわけだから、このラストは「まぁ……、そうなるよね……」としか。
ホラー小説で現実改変と平行世界ものがお出しされるのが楽しくて、ワクワクしてた。
現実改変ものというとあさとほも現実改変話だけど、あっちはこっちほど「生存競争!」って話じゃないし、巻き込まれても主人公達の存在が消えていく不安みたいなものはなかったので(後あんまり現実が書き換わっていく恐怖心もなかった)、「世界が侵食されるぞ!」っていう得体の知れない恐怖心はこっちが強い。
墓石の名前が削られるところからはじまり。
そこから「久喜貞市は生きている」という事象がゆっくりと、現実(久喜貞市は死んでいる)を啄んでいき、そして最後には現実だったものは消化されて、「久喜貞市は生きている」という現実が確定する。
確定するまでに至る展開の不安定さと、ぐるぐるとした足場の心許なさが面白い。
幽霊の定義も好きだし、「なるほど、この話はこういう世界観なのか……」って気づいた後は、ホラー小説への恐怖心よりもワクワク感が強くなってくる。
そして主人公サイドが理不尽に負けたわけではなく。
どうして現実が入れ替わるのか? とか、作中で語られていることを推察していくと、「あー。これは主人公サイド、負けますわ……」ってなるのもいい。
思い(執着)の強さが現実を引き寄せるなら、好きな女を自分のものにしたい北斗と、赤ちゃんを身ごもった千弥子のコンビに、執着の薄い主人公が勝てる道理がないんですよね……。
でも、まぁ……なんというか。
心のどこかで「それでもやっぱり、主人公サイドが勝つんだろうなぁ」と思い込んでいたので、まさかここまでがっつり完敗するとは思ってなかったんですよ……。
落ち度らしい落ち度のない(強いて言うなら執着が人よりも薄い)主人公が、奥さん寝取られて、なおかつ存在まで“過去に死んだ”ことにされるとは思ってなかったんだわ……。
なのでかなり、最後の展開は唖然としてました。
気分は、「え。マジか」でした。
このラスト、いいのかこれでって思ったけど、これでいいんだろうな……。
でも、北斗の一人勝ちはなんかむかつくから、続編があるなら返り討ちにあってほしいなぁー……。
コメント