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リボーン/五十嵐貴久(ネタバレ有)|リカシリーズの最終巻!そして恐怖は繰り返される……?【感想】

この記事は約15分で読めます。

どうも。
というわけで、リボーン(五十嵐貴久)の感想です。

ようやく、リカシリーズの最終巻!
twitterでこの本を褒めてる人が多くて、「一体どんな話なんだろう?」と気になって手に取ってみたら、「あ。これ最終巻やん!」となって、慌てて一巻目を入手したのはいい思い出……。
それ以来ひたすら最終巻を目指して読み進めていたわけですが、ようやく辿り着いた!

というわけで、最終巻である完結編はなんというか、異能系作品になってました。

いや、なんていうか。
「なんで今まで現実路線だったのにいきなり異能系に行くんだよ!」って気持ちと、「いや、まあ、仕方ないよな……」って気持ちでぐるぐるしてる……。

最初は「ただただハイスペックで思い込みの激しい女」だったリカが、巻数を重ねるごとに猟奇具合を増して、虐殺レベルもあげていって、正直「この女、警察が捕まえられるん……?」となっていってまして。

「見いつけた」(P154)

この一言で、「あ。やべぇ、終わった」って背筋が凍ることってあるんだね……。

見つかったら終わり。
殺されて終わり。
いや、マジで怖いんですが……? 話の展開として絶対に見つかるのは分かってたけど、それでも怖いんですが?!

この女に対抗できる手段と考えた時に、超常現象的な力が出てくるのは……、なんとなく分かる。
というか、他に対抗策あるかよ。
でも、なんとなく分かるけど、「え。これでええの?」って気持ちも、ある。(一応ホラーといっても現実寄りのホラーだったから、いきなり異能力みたいなのが出てくると戸惑うと言いますか……)

少年コミックとかでよくある終盤になってくると力のインフレが起こって、序盤の仲間が活躍しにくくなるっていうアレですね……。警察は何度もリカに痛い目に合わされてるから今回こそはって思ったけど、やっぱり警察ではリカは止められないんですね……。

で、今回の話で萌香さんのおばあさんが言ってた台詞だけど。

「あれが恐ろしいのは、人の心の弱みをよう知っちょるところじゃ。油断、慢心、何でもええが、そこに付け込んで来よる。殺された者はあれに負けたんやない。心の弱さに負けたんじゃ」(P140)

この台詞、めっちゃ真理ですよね。
そしてリカに立ち向かうのがいかに難しいかも分かる。
一冊目の本間は保身に走ってリカに返り討ちにされたし。
リハーサルでの副院長も、最初の医療事故?の時に隠蔽しなければリカに付け込まれることはなかっただろうし。
リセットの主人公の場合は、周囲(母親)がリカを利用しようとして逆に殺されたもんだから、人の心の弱みに入り込むのがうますぎる。

今回の話でもそれで堀口君の心に付けいってたしな……、堀口君……、味方だと思って油断してたわ……。

そして「人の心の弱みに付け込む」から、読んでると、「この被害者、なんか好きになれないな」って気持ちになるんだよな。
特に一冊目の本間さん、この人だけは「いや、妻子持ちで出会い系なんてするなよ。最後に酷い目にあったからチャラかもしれないけど、リメンバーでの妻子の末路を考えても、アンタの場合は自業自得としかいい方がないじゃん」ってなってしまうのが、帳尻としてはいいんだろうか。

リカって、「この女の気持ち、理解したくないけど理解できるような気がする」っていうのと、「分かるわけねぇわ。こんなん」っていうのがいい塩梅になってるんですよね。

やべぇ女が人心掌握を持ったらもっとヤバくなるという典型。

で、やばくなったリカに娘ができて、リカの娘が結果的に、自己中ハイスペ女だったリカの弱点になっているのが面白い。

しかも考えれば考えるほど、リカに子どもがいるのってすっごく自然なのが怖い。
一昔前のテンプレのような家族を求めているリカにとってみれば、“旦那(四肢を切断した男)がいるなら子どもがいて当然”っていう発想で、子作りするのは当然だし、子どもがいるのも当然の流れ。
そしてリカの中では当然でも読んでる側からすれば、「いや、四肢を切断された男とどう子作りするんだよ……」となるんで、リカと読者の認識の違いが、同時にリカへの気持ち悪さに繋がっていくのも面白い

そして最後に思うんですが。

とりあえず、その包帯の少女は殺しておいた方がいいと思う。

リメンバーにリカの娘っぽい子は出てきてなかったと思うので、今回の最後で死んだとは思うんだけど、リメンバーのほうが出版は先(時系列は後)なので、リカの娘が生きてる可能性はあるんだよなぁー……。生きてたら怖い。新しい物語が生まれてしまう。

娘が生きていけば、すべては水の泡。
でもその“水の泡”も、ホラーとして考えればちょうどいい居心地の悪さかも?

それでは、ここまで。
またどこかで。

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