舞台「文豪とアルケミスト-余計者ノ挽歌-」を見に行って来ました。
全体的にいうと、「気になった部分もあるけど、面白かった。気になった部分は今後の文劇のウリになるかもしれないし、今後の舞台展開がすごく気になる」です。
良かったポイント
キャラの完成度が高かった……!
キャラ全体の完成度が高くてびっくりしました。
特に太宰君。
舞台を見に行く前からツイートで「アドリブが多い作品」と言われているのは知ってました。なので「どんな感じかな?」と気になってたんですが、太宰君はまんま文アルの太宰君でした。
芥川先生大好き(リスペクト以上のリスペクト振り)。
無頼派のメンツには思いっきり甘えまくり(それがかわいい!)。
白樺派(特に志賀さん)には突っかかりまくり。
おおー。これは確かに太宰君!! でした。
他のキャラも「お! これアドリブだな! すごい!! 本当に××が喋ってるみたい!!」と思うシーンが多かったのがすごかったです。
特に無頼派がすごかった。
私が無頼派オシなのも理由なんですけど。無頼派のお互いに役割をしっかり認識してて、太宰君を甘やかしたり、なだめたり……。
アドリブじゃないと思うんですけど、太宰君が「心中する!」と言い出すと止めに入るのが安吾で、織田作は後ろで2人の様子を眺めてる構図が、まんまゲームの無頼派でした。
太宰君の心中ネタはまんま太宰君でしたね……。
その太宰君に絡む安吾もまんま安吾でした……。
安吾の前で心中とかいうなよ……。安吾は太宰君の自殺の後で鬱になるぐらい、太宰君の事好きだったんだから……。
って思う反面、あー。このふたりが転生するとこんな感じなんだろうなぁ、と思うとにまにまできました。
「生きろ!」がテーマで、「罪の深さ」が裏テーマ
今回の文劇の主人公って太宰君と芥川先生ですよね……。
このふたりって両方とも自殺している人達で、そのふたりが転生して戦うことになって、その戦いの合間で死ぬかも? ってことになって……、でも色々あって這い上がろうとして(主に這い上がろうとしてたのは太宰君でしたけど)、そのふたりに周囲の文豪たちが「生きろ!」と叫ぶのが、今回のテーマなんですが。
なにげに芥川先生の闇が深い……。
自分が作家になったことで親友を傷つけ、いろいろあって死んだと思ったら転生して、その後で自分を尊敬する子(太宰君)が自分の名前をとった賞の関係で傷ついて、いろんな人を巻き込んでいると思い知らされる芥川先生の闇が深い……。
侵蝕者が「作家の負の感情」を食らうなら、そりゃ芥川先生をターゲットにするわなぁ……。
太宰君の闇も深いですけど、太宰君には心中しようとしても引き留めてくれる人達(安吾と織田作)がいるけど。芥川先生にはいない。
だからどんどん深みにはまっていく。
でもその芥川先生を引き上げるのが、同じく闇を抱えた太宰君で。太宰君ごと芥川先生を引き上げるのが、文豪たちなんですよね……。
気になったポイント
役者としてのアドリブはありか? なしか?
良かった点で「アドリブがすごかった!」と言ってますが、一方で気になったポイントもアドリブなんです。
前もっていうと、これは物凄く人によって違うと思います。
なんというか、キャラが喋っているというよりは役者さんが喋っているようなセリフがいくつかあって気になりました。
これは人によって「面白い!」って部分もあれば、「どうなんだろう?」って思うところもあると思います。
私の場合は何度か舞台から現実に引き戻されて、「あ。これって役者さんが喋ってるセリフだわ」と思う部分がありました。でも同じ部分で楽しく笑っているお客さんがいたのも事実です。
あとで一緒に見に行った旦那さんにこのことを話したら、「舞台に何を求めているかの違いでは?」という返事がありました。
私は文豪とアルケミストの舞台を見に来た。なので役者さんではなく、キャラを見に来ている。だから役者さんの素の顔が見えるアドリブはあまり好きじゃない。
でもお客さんの中には、文豪とアルケミストの舞台を見に来るのと同じぐらいの重要度で役者本人を見に来た。だから役者の素の顔が見えるアドリブも気にしない。むしろウェルカム!
文劇が今度どの道筋を辿っていくかが気になります。
アドリブ分は少し気になるところもありましたが、全体的に見ると「面白かった! 今後どんなふうに発展していくのか物凄く楽しみ!!」な舞台でした。
なんていうか、面白かったのは確かなんですけど――……、全体的に未知数でした。
役者さんの素の顔が見えるアドリブも、今回がはじめてだから「ん?」となったんだと思います。
それを今後あるかもしれない文劇の続きでも続いていけば、「文劇の売りはアドリブ!」ってなりますし、これはこれで面白くなっていくのかも……?