どうも。
本の帯に「戦慄のバイオホラー」と書いてあって、「どんな話なんだろう?」とワクワクしながら手に取った一冊。
思えばこの作者さんの本を読むのもはじめてなので、めっちゃワクワクしてたんですよ。
で、実際に読んでみると、……バイオホラーというよりは、バイオレンスホラー??
贓物と血飛沫がめっちゃ飛び交ってますねぇー。
バイオホラーっていうぐらいだし、もっとこうじめっとしたイメージがあったんですが。
実際のところ、この話が“じめっ”としているのは、地面に大量に流れ出た被害者達の血液のせいじゃないかなぁー……とぼんやり思うぐらいには、バイオレンスな一冊でした。
スプラッタもホラーと呼べるならまあ、こんだけ人がぐちゃぐちゃに死んでいってもホラーってことでいいのか……。
めっちゃ血が飛ぶ。
首が飛ぶ。
贓物が飛び出す。
喰われる。……喰われる。
人の尊厳、どこにいった?(そんなものは元からない)
ホラーだもんね。人間の尊厳なんていらんよね。
……というか、人間の尊厳を踏みにじっていくのがホラーなのでは……??(確信)
最初こそ「自然破壊がテーマの作品なのかな? 自然vs人間なのかな?」って思ってたけど、読み終わった今よくよく考えてみると、対立さえしてない。この本に描かれているのは、弱肉強食。弱いものは強いものの餌になるしかないよ、っていうシンプルな構図。
その弱肉強食をいい感じにコーティングして複雑にした感じの話。
不運と偶然が混じり合って最後に盛大な血飛沫があがるような、そんな話。
とにかく今まで読んだ本の中でダントツに血飛沫の量が多い作品だったので(多分二番目はリカシリーズだと思います。でもリフレインよりは死んでないか)、贓物が苦手な人には絶対にお勧めできない一冊でした。
逆に言うと、贓物が苦手じゃなかったら面白いんですよねぇー……。
作中に張り巡らされている伏線がかなり分かりやすいので、中盤ぐらいまで読んだら今後の展開が分かってしまうんですが、それを嘲笑うレベルでとにかく血が飛び贓物が飛び、人間が人間の尊厳を奪われて蹂躙され尽くされるので、「伏線? なにそれおいしいの?」となっていくのが面白い。
あの絶望感漂う血なまぐさい雰囲気は読んでて楽しい。
たとえ事件の内容が分かっても犯人が想像できても、読んでいる側はあくまでも部外者なので、「多分こういう展開になるんだろうなぁー」と思っていても(実際にそういう風になっても)、主人公達がどんどんバッドエンドに突っ走っていくのを傍観する感じ。
で、そういうストーリーの先読みって「つまらないなぁ」って思う事も多いんだけど、この話に関してはつまらないと感じるより前にとにかくひたすら人が死んでいくので、そっちに気を取られてしまって、つまらなさを感じない。
とにかく人がいっぱい死ぬ本が読みたい人にお勧めしたいなぁー。
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